
瞬く間に血糊で溢れかえるエレベーター内部。
やがてその重さは定員重量を超え(勿論「安全装置」など働かず)、自重で奈落にフリーフォール。
え?まさかあれやるの?いやでも…
激突と同時にドアぶち破ってダム決壊の勢いで流れ出る血糊の波。

真っ赤に染まるエレベーターホール。
気持ちは分かる。でも違うから。それ「シャイニング」だから。
「死霊のはらわた」じゃないから!
「死霊のはらわた ライジング」(2023年/リー・クローニン監督)
冒頭は湖畔のキャビン。遊びに来た男女3人(カップル1+女友達1)に惨劇が。

ここから1日時計を巻き戻して本編スタート。
頭に見せ場持ってきて時間を遡るのはよくある手。なるほど、これからキャビンに行ってあれやこれやの超常現象が…ん?ちょっと待て。
いつまで経っても冒頭の3人が出て来ない。それどころか、舞台は取り壊しが決まったポロアパート(つまり貧乏人しか住んでいない)から一歩も出ず、キャビンに行く気配もない。
主人公は旦那に逃げられて子供二人を抱えているエリー(アリッサ・サザーランド)と久しぶりにやってきた妹ベス(リリー・サリヴァン)。
ベスはちょいと下半身がだらしなく、誰かの子供を身籠ってしまい姉に相談に来たようです。
つまり男に逃げられ次の家も見つからない姉と勢い任せで妊娠してしまった妹という運がなければ金もない駄目駄目シスターズです。
この老朽化著しいアパートの地下駐車場が地震で崩落。床下から謎の隠し金庫がこんにちは。
好奇心旺盛な子供(兄の方)が、中に降りて大探検。持ち帰ってきたのは、謎の包みと3枚のアナログレコード。
包みから出てきたのは、得体の知れない皮張りの本。

レコードにはこの本に関わる教会関係者の会議、いや集会のようなやりとりが。
『破壊しろ!《死者の書》と呼ばれているのには理由があるんだ!』
(Destroy it! It's called the Book of the Dead for a reason!)
やがて、本の記載内容を解読したという人間が呪文のようなものを唱え出し…。
あーなるほどそういう流れ…いやいやちょっと待て。それはキャビンでやる事なんじゃないの。ってか、いつ行くのキャビン?
というこちらの心配をよそに超常現象続発。憑りつかれたお母ちゃん大暴れ。ご近所巻き込んでアパート内阿鼻叫喚。

気持ちは分かる。でも違うから。それ「デモンズ2」だから。
「死霊のはらわた」じゃないから。

マニア向けの細かい目配せはたぁくさんあります。
ピザ屋の名前が「ヘンリエッタ」(「死霊のはらわた2」の地下室の悪魔の名前)だとか、冒頭のキャビンに飾ってある時計が「死霊のはらわた」でシェリルが描いていたものと同じだとか、登場人物の名前はすべて過去に『はらわた』シリーズに出演した俳優の名前から取られているとか、廊下でエリーが男の目玉を噛み切る音はブルース・キャンベルがリンゴを猛烈にかじっている音声を録音したものだとか、樹木医のトラックに「Fonda's」と書かれているのは『キャプテン・スーパーマーケット』冒頭でアッシュのガールフレンドとして登場したブリジット・フォンダにちなんだものだとか…。
どーでもいいです。
この「シャイニング」×「デモンズ2」の攻防が如何にして冒頭のキャビンに繋がるのかは、各自の目でご確認ください。
★これに比べたらまだ「あの」リメイク作の方が原典に寄り添っていた気がするなぁ(あくまで比較論ですよ)。
前半のオカルティックな雰囲気は悪くなかったんだけどなぁ。
因みにレコードが記録していた「Destroy it! It's called the Book of the Dead for a reason!」の声はブルース・キャンベルのもので、過去に飛んだアッシュの台詞という設定なんだそうです。
★ご参考色々
☜ランキング投票です。やっぱ死者の書の表紙は「顔」じゃないとなー、と思われる方はワンポチを。
★本日のTV放送【21:00~BS松竹東急】