
ジーン・ハックマンがお亡くなりになりました。
2025年2月26日午後、サンタフェの自宅。妻でピアニストのベッツィー・アラカワと愛犬と共に。95歳没。
原因は非公開ですが、妻と愛犬と共に、というところが気になります。
ハックマンのイメージは立ち位置に関わらず持っている二面性。
牧師でありながら神を糾弾し(ポセイドン・アドベンチャー)、刑事でありながら未成年と淫行したり犯人背中から撃ったり仲間撃ったり(フレンチ・コネクション)、悪党なのに憎めない3枚目(スーパーマン)だったり。

これもそんな二面性を味わえる1本。
「ボディ・バンク」(1996年/マイケル・アプテッド監督)
原題は「Extreme Measures」。「極端な手段」「過激な手段」。本作に照らせば「正しい目的のために正当化される違法な手段」。
救急搬送されてきた患者の不審死をきっかけに若い医師ガイ・ルーサン(ヒュー・グラント)が取り込まれていく病院の闇。
ハックマンの役どころは、正義の名のもとに違法な研究(ホームレスをモルモットにした脊椎麻痺治療)を繰り返す医師ローレンス・マイリック。
マイリックは『数百万人を救うために一人を殺すことは許される。被験者は英雄だ』と言いますが、ルーサンは『それは本人たちの選択ではない』と指弾の手を緩めません。
追われる身になってしまったルーサンが逃走中に後ろから殴打され昏倒。目を覚ますとそこは病院のベッドの上。意識はあるし話もできるが、手も足も動かない。医師が言うには脊椎が損傷して治る見込みはないという。つまり一生寝たきり。

そこに現れたマイリックが『助けたい』。
『私を助けたいなら...死なせてください(let me die)』
『希望があるとしたら? もう一度歩けるようになれたら? 自分で食事ができるようになれたら? そこにどんな価値を見出す? 昔の生活に戻ってまた医者になれるとしたら? 何を我慢する? 今の状況を変えるためにどんなリスクを冒す?』
『僕は脊髄がC6で切れてるんですよ』
『もし治る可能性があると言ったら? また歩けるようになる...可能性がある...と言ったら? そのために何をする?』
『何でもします(..anything)』
『何でも?』
この立場の転換は凄い。脊椎治療を待つだけの身になってもまだ私を非難することができるのか!?
オシャレ系2枚目ヒュー・グラントとハックマンの対比が際立つサスペンス・スリラーでした。
謹んで哀悼を。
★91歳のお誕生祝記事はこちら。
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