デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【民間伝承か】ユー・アー・ノット・マイ・マザー【精神疾患か】

ハロウィンの前日、運転していた車を放置して、行方不明となった母。

翌日無事戻って来た母は、前とちょっと違っていました。

ヨーロッパに伝わる民間伝承「取り替え子」に材を取ったアイルランド産のスリラー/ファンタジー

「ユー・アー・ノット・マイ・マザー」(2021年/ケイト・ドーラン監督)

「取り替え子(チェンジリング)」というのは、日本人にはなじみ深い「神隠し」を更にひねった感じの民間伝承。

子供や人を攫うところまでは一緒ですが、代わりを置いていく所が律儀(頭数は変わらない)。

取り換えられた子供や人を元に戻す(再交換する)方法は…燃やす!(なんですとお!?)

主人公のシャーロット(愛称シャー。ヘーゼル・ドゥープ)は頬に火傷の痕があるカトリック系の女子高生。


一部の伝承によると、取り替え子は人間の子供より知能がはるかに優れていたそうです(シャーは飛び級で進学したらしい)。

一時的な失踪から帰宅した母アンジェラ(キャサリン・ブラッケン)は、リチウムの常用者。リチウムは双極性障害躁うつ病)の一部である躁病の治療薬です。

失踪前は完全に鬱状態でしたが、帰宅後は超ハイ。派手な服を着て音楽を流し、床を蹴ったり叩いたり…。

かなり怖いですこのシーン。


家族の言動がおかしくなる。辻褄の合わない不可解な行動をとり始めたら、切実に恐怖を感じると思います。

それが取り替え子でも躁鬱でも認知症でも。

本作、細かい人間関係がかなり意図的に曖昧にされています。

最初はシャーを虐めていましたが、やがて親友になっていくクラスメイトのスザンヌ(ジョーダン・ジョーンズ)。

スザンヌの父親はシャーを見て『あの子に近づいてはいけない』

スザンヌがシャーの家に来て名前を告げるとシャーの祖母リタ(イングリッド・グレイギー)は、

スザンヌスザンヌ・オコネル? お母さんの名前はアドリアンヌ?』

スザンヌの母親アドリアンヌはスザンヌが小さい時に川で溺死したらしい。

顔も覚えていないが、お父さんが作ってくれたお揃いのネックレスをつけていた。

シャーの家のキッチンに入ったスザンヌの後方にびしょ濡れのドレスを着た女性が。

その首元にはスザンヌとお揃いのネックレス。そして、スザンヌの耳元で、

『帰りなさい』

このふたつの家族の間に何があったのでしょう。


リタに軟禁されたシャーの母親アンジェラは本当に取り替え子なのでしょうか。それとも単なる精神疾患なのでしょうか。取り戻すためには燃やすしかないのでしょうか。


考察好きには捗る作品だと思います。

 

神隠し色々

 

 

 

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