デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

交わりは罵倒の調べ。 ロックは淑女の嗜みでして ♯1-2

『つっまんねぇなぁぁ! テメエのギターはぁぁぁ!!! 』

中指立ててイキる猛る。

『この不燃ごみが! そんなギターやめちまえ!!!』

交わり(セッション)は罵倒の調べ。

ここは桜心女学園。政・財・各種業界を牛耳るトップの息女、正真正銘の「お嬢様」だけが集う男子禁制の学び舎です。

「ロックは淑女の嗜みでして/第1話・ごきげんよう♡そんなギターやめちまえ!!!|第2話・交わりましょう♡絶対、認めない!」(2025年4月3日・10日TBS放送/綿田慎也監督)

鈴ノ宮りりさ。桜心女学園高等部一年生。不動産王である鈴ノ宮正の娘。

但し、1年前まではただの庶民。母の再婚で鈴ノ宮家に入った紛い物お嬢様。それでも学園の頂点「学園一のお嬢様」に与えられる称号「高潔の乙女/ノーブルメイデン」を目指す、いや、ならなければならない。

それが鈴ノ宮の親族の敵意に晒されている母を守る(ために自分にできる唯一の)方法だから。

えっと、あなた、防衛軍にもいませんでした?
(左は四ノ宮キコル@怪獣8号)


元々の容姿+桁外れな努力と苦労の甲斐あって、転入1ヶ月で周囲からも一目置かれる“憧れの”お嬢様となったりりさですが、何の刺激もない窮屈な毎日に圧死寸前。

廊下ですれ違った(軽い接触事故を起こした)のは、息が止まるほどの美少女・黒鉄音羽(くろがね おとは)。


政財界の重鎮・黒鉄喜十郎の娘で、1年生の憧れナンバー1(ナンバー2がりりさ)。

ごきげんよう、と爽やかに分かれた後、廊下に落ちていたお嬢様に似つかわしくない小物。


それはギターのピック(しかもメタルデザイン)。何故、こんなものがここに?

翌日、その廊下に「サービスカットかよ!?」な体勢で床に顔近づけている音羽の姿が。


聞けば昨日ここで大切なものを落としてしまったと言う。それってまさかこのピック?

人前で出すのは憚られる(合っていても間違っていてもどちらか一方が恥をかく)ので、せめて人気の無い所で確認しようと後をつけたら、本当に人気のない林を抜けて現在無人の旧校舎へ。

こんなところへ何しに?

中に入ると聞こえてきたのはドラムの音。出所は音楽室。思い切ってドアを開けると中には…。


(お、お嬢様が、ドラム…!?)

間違いない、このギターピックはこの人のものだ。返却すれば用事は終わる。

『では、わたしはこれで』

『…ところであなた、ギター弾かれますよね?』

これがギターピックであるとお嬢様に認識できるわけがない。それに見事な指の「たこ」。明らかにギターの練習でできたもの。


『私と交わってみませんか?』

それはセッションのお誘い。ロックなんてお嬢様に、鈴ノ宮家に相応しくない。とぼけて去ろうとしましたが、

『そうですか…上手くないならそうおっしゃればよろしいのに…』

(私が下手くそだって…!?)


煽り上手です音羽さん。そしてチョロインです、りりささん。

(気に入らない。何の苦労も知らないお嬢様の分際で!)

それはセッションというより「決闘」。どちらの音が相手をねじ伏せるか。

音羽のドラムはまるで奴隷を屈服される女王様。

お好きなポーズはどちら?


ならば私のギターパートで押し返す!

何かプロレスの「ダブルブリッジ」(手四つの態勢から押し倒されるのをブリッジで防ぎ、そのまま起き上がって相手を押し倒そうとすると相手も同じブリッジで防いで起き上がるという一種の様式美)を想像してしまいましたが、これは協力プレイではなく決闘。最後に場を攫った方が勝ちです。

りりさがギターパートを完璧にキメた直後、全てを持って行ったのは音羽


音羽『完全燃焼!』

手ごわい相手だった。不良漫画お約束の「やるなお前」なエールを送ったりりさですが、返ってきたのは、「お前もな」ではなく、

『つっまんねぇなぁぁ、テメエのギターはぁぁぁ!!! いきがいいのははじめだけかよ!なーんで急に静かになっちまうんだよ!? もしかしてテメエのギターは線香花火ですかぁー? それともしけっちゃてるんですかぁー!? もっと燃やせよ、こっちが萎えるんだよ!! この不燃ゴミが! そんなギターやめちまえ!!!』

まさかの罵倒。中指屹立のおまけ付き。


『では、ごきげんよう

爽やかなお嬢様スマイルで退場する音羽。唖然呆然りりささん。

『な、なんなんだ、あのヤロウは…』

それが生涯のパートナーになる黒鉄音羽との出会い。

やめちまえ!と言い放っておきながら、翌日から音羽のりりさ詣でスタート。朝からりりさのクラスで待ち伏せおはよう。咄嗟に他人のふりをするりりさですが、

『ひどいですわ…昨日私とあれほど交わったのに…』


誤解全開、百合満開。

『今度はいつ交わりましょうか?』

駄目だこいつ、早く何とかしないと(命からがら裏世界から逃げ帰ってきた直後、空魚に『で、次いつ行く?』と笑顔で持ち掛ける鳥子みたいですね)。

どどどの口が!? 昨日あれだけ罵っておきながら!?

『申し訳ありません!昂ってしまって…それで、次はいつやりましょう?』

駄目だ(以下略)。食堂にまでついてきて。そのランチの間、誰にも気づかれないよう(りりさだけに伝わるよう)フットペダルのヒールダウンのトレーニングをしていた音羽

(あいつはどうして、そこまでドラムに熱中しているんだろう)

それだけ確認したい。返しそびれていたピックのこともある。それだけと言い聞かせて旧校舎へ。

『あんたみたいなお嬢様が、どうしてドラムなんかやってるの?』

華道やクラシック、お嬢様に相応しい趣味なんていくらでもある。

『ロックドラムなんてお嬢様がやるような事じゃない!』

『…えっと…それってお嬢様関係ないですよね?』

これを叩いている時が一番夢中になれる。お嬢様とか殿方とか女性とかサラリーマンとか自営業とか金持ちとか貧乏とか一切関係ない。

(8ビートの振動がうるさい。このリズムが心臓の鼓動のように、私の身体中に、忘れたはずの何かを駆け巡らせていく)

『好き以外にやる理由があるなら教えてください!』


好きならお嬢様でもロックをやっていい!? ざけんな!! 私がこれまでどれだけ自分を隠し、自分を捨てて来たと思ってんだよ!

私はお嬢様になるためにギターを捨てた。それに何ひとつの未練もない。

だから、散々馬鹿にされ罵られ否定された挙句、またギターをやりたいと思ってしまったなんて、私は!絶対認めない!

今の私にはこんなもの必要ない、もう未練は無いと、このセッションで証明して見せる!

まずは黒鉄音羽を叩きのめす!


2度目の「交わり」がはじまります。

タイトルから何となく「スクール・オブ・ロック」「けいおん」のお嬢様版かと思って手を出しそびれておりましたが、意外や熱血系でした。継続視聴決定です。

 

★ご参考

★りりさ下校時、ストリートミュージシャンが歌っていた(そして通行人に「うるせー!」と怒鳴られていた)曲はこちら。

 

 

 

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