デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【死が互いを別つても】終末ツーリング ♯2【追憶と再会の海へ】

今回のタイトル、観る前は

【港のヨーコ】終末ツーリング ♯2【横浜・横須賀】

にしようとしていたのですが、観終わって海より深く反省いたしました。

終末の横浜で、ヨーコとアイリは初めてヒトに出会いました。

「終末ツーリング/第2話・横浜・横須賀」(2025年10月11日TOKYO MX放送/神谷歌歩演出)

箱根の次に目指したのはみなとみらい。箱根が「箱根八里」だったので絶対横浜は「赤い靴」だろうなぁと思っていたらいきなりフルコーラス。

野口雨情の情感溢るる歌詞と(運命の悪戯とも言える)史実とのギャップ(「大筋に於いて実話」が定説なんです、この歌)、本居長世のどんより沈み込むメロディが相まってちょっとダウナーな気分にさせてくれる名曲です。

辿り着いたベイブリッジは途中で分断・崩落。「パトレイバー2」でミサイル攻撃された跡ですね、分かります(画像右下が「パトレイバー」のベイブリッジ)。


覗き込めば海の中にはご飯が一杯(私、この体勢無理です。吸い込まれる)。

早速釣り竿取り出してルアー結んで垂らしてアングラー(んなもん持ってたんかい!)

反応の無さにちょっと飽きてきた頃、ようやく当たりが!…と思ったら釣り上げた瞬間、でっかいサメがジャンプ&横取り。

残ったのはお頭だけ。縁起はいいが喰うところが…。


何てスペクタクルな漫才を演じていた所にご近所散策していたアイリが御帰還。その手に持って(引きずって)いるのは…

『ヒト見つけた』

それはヒト型ロボットの上半身。バイクのバッテリー繋いだら起動した!


獲れたての魚のように跳ねて起きて、自分の体見て狼狽パニック。

機械? え、俺ロボットなの? 下半身無いし…ってか俺誰? ここはどこ?

『ロボットじゃないよ。ヒトだよ。身体を機械に取り換えたサイボーグ。昔、大怪我など人体の損傷が激しい患者の生命維持に使用されていたH社製軍用モデルP45型』

義体って事ですか? ロボットじゃないなら初めて出会った人間だ!

『俺のことは…んー…シュワちゃんと呼んでくれ!』

『よろしくね、シュワちゃん!』

『いや待った、今のは冗談だ。良く分からないけど、深層心理が言わせたジョークのような…シュワちゃんって何だ?』

記憶が全リセットされても深層心理にシュワちゃんは刷り込まれているのか。すげーなシュワちゃん

首に掛かっていたカードケース。中には1枚の写真。それはシュワちゃんの家族のよう。


撮影場所は横須賀港。「ロボお父さんの仕事場」のメモ書き。横須賀なら近い。行ってみよう。

三人乗りで風を切る。

『気持ちがいいなぁ。俺もバイクに乗っていたのかもしれないなー』

全身に受ける風に何かのスイッチが。口をついて出たのは、

『♪旭日の輝くところ、儼(げん)たり深き潮…』

それは1937年(昭和12年)に北原白秋(作詞)と山田耕筰(作曲)によって書かれた初代横須賀市(現在の市歌は二代目。1967年~)。

それがトリガーだったのかシステムが強制再起動開始。バックアップメモリーが読み込まれ…。


覚醒する記憶。そうだ、俺は…。

トンネルを抜けたら道を塞ぐ巨大な黒い壁。


そうりゅう型潜水艦。艦名は四神の一つ青竜の別名である蒼竜に由来し、この名を受け継いだ日本の艦艇としては、旧海軍の御召艦「蒼龍(読みはせいりゅう)」、航空母艦「蒼龍」に続き3代目。

横須賀市歌が口をつく。そうりゅうの名前がすぐに出る。写真(仕事場)は横須賀港の船の上。義体は軍用モデル。間違いありません。シュワちゃんの職業は…。

ここから先には進めない。アイリのプラズマ砲でせいりゅうを弾き飛ばすと言う手はありますが、道路の分断は直せません。

もう目的地は目の前…いや違う。ここだ。写真の背景に映り込んでいるのは間違いなくこの景色。しかし、目の前は海。桟橋も突堤も全ては海の底。

海面にはサメを威嚇する巨大な親子シャチ。

『俺は馬鹿野郎だ。もっと早く来たかった。皆、俺を心配して待っていたかもしれないのに』

一緒に旅しない? シュワちゃんを誘うヨーコ。絶対3人の方が楽しいよ。

『ありがとう。でも俺はここに残るよ』

…察し。

シュワちゃん、だけど…』

『俺の名前は鈴木一朗だよ』

取り戻したアイデンティティ。一瞬フルフェイスの中に見えたのは鈴木一朗の素顔なのか。

握手。お別れ。互いに再会の約束はしない。

独り残った鈴木の脳裏に再生される「あの日」の記憶。震災か。避難民を乗せて次々出航していく船。離岸する航空母艦


『待て!俺は戻る!まだ家族が横須賀に!』

あれから一体どれほどの月日が…。

バッテリー残量残りあと僅か。もうすぐ全てが終わる。そして懐かしい家族の元へ。


『皆、ただいま』

ただでさえ歳喰って涙腺緩くなってるのに、これはあかんよ。

ティッシュおかわり。

 

 

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