
『見よ。私も自らの知恵に飽きた。あまりにも夥しく蜜を集めた蜜蜂のように。私は手を必要とする。私の知恵に向かって差し伸べられるあまたの手を』
(ニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」より。以下同じ)
本日11月27日はリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツゥラトゥストラかく語りき」初演の日。
1896年の今日、フランクフルトで開催された第4回ムゼウム協会コンサートで、リヒャルト・シュトラウス自らの指揮により、交響詩「ツゥラトゥストラかく語りき」が初演奏されました。
ツァラトゥストラとほとんどセットになっているくらい密接な関係にあるのが「2001年宇宙の旅」(1968年/スタンリー・キューブリック監督)。
月・地球・太陽が直列するメインタイトルと、類人猿が骨を武器にすることに目覚める「人類の夜明け」、そしてボーマン船長がスペースチャイルドに転生するエンディングの3場面で「導入部」がこれ以上ないくらい効果的に使われておりました。

まあぶっちゃけ有名なのはこの「導入部」だけであとは以下略。
『見よ。この杯はふたたび空になろうとしている。ツゥラトゥストラが、ふたたび人間になろうとしている』
――こうして、ツァラトゥストラの没落は始まった。
この交響詩をフュージョン(当時の言い方だとクロスオーバー)アレンジしたのが、ブラジル出身のジャズ・キーボード奏者デオダート。

デオダート版をがっつり使用した映画が「チャンス」(1979年/ハル・アシュビー監督)。
知的障害があって読み書きが出来ず、仕事以外の時間はテレビばかり見て過ごしている庭師のチャンス。物心ついた頃から住み込みで働いてきた屋敷の当主の死によって、今まで外に出たことがなかった屋敷から出されてしまうことに。
この屋敷から出る(初めて外の世界に触れる)シーンに掛かるのがデオダート版ツァラトゥストラでした。

『私は山に長く住み過ぎた。小川のせせらぎ、木々のざわめきに耳を澄ましすぎた。そして山羊飼いに向かって語るように、彼らに語っている』
チャンスは庭師としての知識しか持ち合わせていないので、話す言葉は全て草木に関わることばかり。周りはその言葉を隠喩と暗喩と例えと含蓄と捉え、「マクロ経済の話」「政治的アドバイス」に脳内変換。上流社会で一目置かれる存在に。
曲のスパイスとして上手く使ったのがディープ・パープルのセカンドアルバム「詩人タリエシンの世界(The Book of Taliesyn)」に収録されている「River Deep, Mountain High(アイク&ティナ・ターナーのカバー)」。
複数回挿入される「ツァラトゥストラ」がプログレの雰囲気を上塗りしておりました。
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★今日は凄いよ。11月27日はブルース・リー、ジミ・ヘンドリックス、佐山聡の誕生日(佐山さん、68歳おめでとうございます!)
「ツァラトゥストラ」は、リック・フレアーの(日本限定でボブ・サップの)テーマ曲としても有名。プロレス繋がりって事で、今回は佐山タイガー衝撃のデビュー戦をどうぞ。