
ランニングタイム71分。ネタとしては完全に(トワイライト・ゾーン的な)ショートショートなのですが、短編ならではの味わい深さが楽しめるアルゼンチン映画です。
行き場を失った男の前に現れる「契約者」とは。
「目に見える友達」(2021年/クリスチャン・ビドーネ監督)
余計な説明を可能な限り省いた骨格標本のような建て付け。
朝、目を覚ます主人公フアン(クラウディオ・サントレッリ)。狭いダブルベッドの半分は使われぬまま。

ベッドサイドには恐らくそこに寝ていた人が読んでいたであろう本と眼鏡が。
起床してシャワーを浴び、歯を磨いて着替えて外へ。手に持っているのは白い杖。ここで初めてフアンが視覚障害を持っていることが分かります
向かった先は教会。目の前には棺。ここでベッドをシェアしていたのがフアンの母親で他界した事が分かります。
会社で上司から生産性の悪さを指摘された時の受け答えで、フアンに吃音があること、視覚障害は視野狭窄であることが分かります。
少しずつ提示されていくフアンの境遇。支えてくれる人を失くして追い込まれていくフアン。そんなフアンの前に現れた不気味な男。

Hola(こんにちは)
その男に触れた途端、吃音が治り、滑らかに話せるように。
目も治したいだろう? 奇跡の対価として男が求めたものは…。

「ファントム・オブ・パラダイス」的な所謂「悪魔との契約」モノかと思いましたが、違いました。これは現実と非現実の境界が次第に曖昧になっていく男の狂気を描いたものです。

強いて近しい箱の作品を上げるなら、この4本でしょうか。
Amazon Primeでの鑑賞。紹介文に「職場では上司から暴力を受け」とかありますが嘘です。生産性の低さと連絡無き遅刻を優しく諫めているだけです。
あと字幕が酷い。勉強不足のAIに自動翻訳させた感じで都度、文法的に正しい日本語に脳内変換しなければなりません。雰囲気は悪くないだけに実に惜しい。
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