
本日2月6日は脚本家・上原正三(1937~2020)の誕生日。
上原ウルトラ脚本と言えば「帰ってきたウルトラマン」の東京壊滅シリーズと筆が走って滑った問題作シリーズ(←勝手に命名)ですが、今回はタロウをチョイス。
「ウルトラマンタロウ/第4話・大海亀怪獣 東京を襲う!」(1973年4月27日TBS放送/吉野安雄監督)
あ~やっぱり東京襲撃は与件なのね。
今回はオロン島近海の海底火山活動で蘇った番(つがい)の巨大海亀(キングトータス&クイントータス)に目を付けた日本の興行師(山師とも言う)が、捕獲作戦を展開した結果、関係者全員が酷い目に遭うという「キングコング」「ゴルゴ」「ガッパ」から連なる鉄板設定。
クイントータスが産卵のため島に上がって来たところを麻酔弾とネットで捕獲。ついでに産みたての卵も頂いて日本へ。

船の中でクインの産み落とした卵でスープを作って舌鼓(どう料理したのか分かりませんが全く美味そうに見えません…が船員含め全員が「こりゃ美味い」。そして全員に亀甲型の蕁麻疹が…)。この様子を見た曳航中のクインがガチ切れして大暴れ。
駆け付けたZAT(Zariba of All Territory-宇宙科学警備隊-)のミサイル攻撃でクインは撃退しましたが、卵4つは依然として山師の手に。
んなこと許すわけねーだろ!なクインが日本上陸。お前も喰ってやる!と山師のひとりを捕食。返す刀で山師らの移動とクインの曳航を手助けした第四さくら丸を襲撃。

ガメラですか、ガメラですね?な回転飛行体となったクインが、排卵管のようなところから卵型の爆薬を投下(アカジライガマだ!)。
空爆された第四さくら丸は炎上沈没。クインの卵を食べた船員は全員死亡。
生き残り山師グループに天誅喰らわすため再び日本に舞い戻ったクイン。タロウと一騎打ちになりますが、ここで『おらの嫁に何するだ!?』と怒ったキングが加勢参戦。
夫婦回転飛行隊となったキング&クインのWインパクトでタロウピンチ!

とここまでが前編。後編(第5話)は「親星 子星 一番星」という「トラック野郎」なサブタイに(トラック野郎シリーズは1975年スタートなのでこっちの方が先ですが…)。
タロウは咄嗟に地中に逃れて夫婦アタックを回避(その後、亀夫婦は残りの山師も吸い上げ捕食。リベンジ完了)。
ZAT本部は復讐終えて大人しくなった夫婦亀を故郷オロン島に返してやろうとあれこれ策を練りますが、ここに組織の偉い人・鮫島参謀が地球警備隊極東支部のスミス長官を連れて登場。
『亀怪獣はただちに攻撃し、そして殺すべきです!』
スミス長官の発言に固まるZAT。
怪獣を領土(オロン島)に入れることはできない。自軍の潜水艦や軍艦が安心して活動できない。演習の邪魔にもなる。すぐに退治を!
亀の安寧と平和を求めるZATと真っ向対立する図式になるわけですが、大人の目から見ると、
スミス長官→国益・国防を最優先(保護法益には優先順位がある)
ZAT→亀の幸せ最優先(オロン島一帯を、亀保護地区に!)
となって『そいつはお花畑すぎねーかZAT?』になってしまうので深く考えてはいけません。
スミス長官の依頼を突っぱね、オロン島で何か起きた時の責任はZATが取ると大見得切って夫婦亀をオロン島に誘導しましたが、そこに待っていたのはスミス長官率いる攻撃艦隊。

合図と共に一斉砲撃。島火の海、卵木っ端微塵(かろうじて1個をクインが口中に確保)、ZATの制止要請も虚しく、遂には島ごと沈没、亀夫婦は炎に包まれ抱き合ったまま海の藻屑に。
打ちひしがれて帰投した東(篠田三郎)ですが、オロン島の暴虐は日本に伝えられておらず、居候先のさおりと健一に『亀を助けてくれてありがとう!』と感謝される追い打ち駄目押し。
メンタルボロボロの東にトドメの一撃。
『クイントータスが日本に戻ってきました』
クインが東京近郊のマンモス団地を急襲。良く見ると頭部に損傷の跡が…一斉砲撃で負った傷で狂ってしまったのか。
逃げ惑う群衆を助けるためタロウに変身した東は心ならずもストリウム光線でクインを粉砕。その口から転がり出た1個の卵が孵化してミニトータスが誕生。
クインの死骸に片合掌するタロウ。団地の室内の作り込みが素晴らしい。

女房の仇!とばかりに追撃してきたキングとキングの成長光線(?)を受けて成体サイズになったミニの合体攻撃を受けるも反撃できないタロウ。
もう亀を殺すことはできない…どうすれば?
クインの亡きがらを持ちあげたタロウが空に。後を追おうとするキングですが、ミニはまだ飛行能力がない。背中に乗せようにも成体サイズになったミニは重くて乗せられない。
完全にコントですが、ここでまさかの助っ人ウルトラセブン!

いつの間にか息を吹き返したクインともどもチェーンで繋がれた3匹をセブンに託すタロウ。
どうやら3匹はセブンの牽引でウルトラの星に向かったようです。少々、いやかなり強引な、ガバドン系ご都合主義(紐で繋いで宇宙空間を移動という絵面は「マックス号応答せよ」系ご都合主義)ですが、大事なのは『この地球上に、あの亀の親子が安心して暮らせるところはない』というユートピア不在の諦観でしょう。
本作が昭和ウルトラシリーズにおける上原正三ラストシナリオとなりました。
★ご参考~東京破壊魔人として、そして子供の視聴を真っ向否定する問題作製造機として。
★親子の愛情を踏みにじる山師の怪獣捕獲大作戦。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京】