
(ただ大切にするというだけの事が、こんなにも難しい)
『あなたさぁ、いい匂いするよね。出会った頃から思ってたけど』
『他の男は、そんな匂い、しないだろ?…違う?』
『違わないよ』
中学から高校という思春期に“違国”に放り込まれた少女の成長譚が大きな柱ではありますが、思春期少女という“異物”を引き取ることになった大人・槙生の葛藤も大きな魅力。
「違国日記/第6話・重なる」(2026年2月8日深夜TOKYO MX放送/川妻智美演出)
第2話のレビュー以降、ほったらかしにしてしまいましたが再開します。
中学卒業(朝の両親が事故死したことが、友人・えみりの母親から担任に伝わり、連絡網を通じて公知になってしまったことに激怒した朝が卒業式当日参加をボイコット)、高校入学(ちょっと自分を良く見せようとして失敗。なりたい自分とのギャップに戸惑い)、部活選び(軽音部へ)という朝の日常と並行して槙生は朝の家の遺品整理。
(嘘みたいだ…こんなにも悲しくないことが…)
姉の遺品の中から娘・朝に当てた日記(20歳の誕生日に渡すつもりで書きだした)を発見。

(姉さん、あなたはいつからどうして、私のことが憎くなったのだろう…そして私はあなたの憎しみなくしても物書きに成り得ただろうか)
部活でちょっと家を空けた朝が帰宅したら、室内大散乱。片づけられないというレベルじゃない。
『前から思ってたけど、なんでこんなことになっちゃうの? 言ったことも滅茶苦茶忘れるし。何で?何でそんな事もできないの!?』
何でそんな事もできない? それは多分、姉から言われ続け、自分に問いかけ続けてきたトラウマワード。たじろぐ槙生に
『そんな傷つくこと? 私、言ってるの普通の事だよね?』

『私が何に傷つくかは、私が決めることだ!あなたの決めることじゃない! 私はあなたのいう“普通”ができなくて困っている。私は…頭の中がいつも忙しくて、ものがすぐ見えなくなって、嘘が極端に苦手で、独りでいるのが心地良い。そういう風に何故か生まれた。あなたが寂しがり屋に生まれたように。それは選ぶことも咎めることもできない。あなたが私の息苦しさを理解できないように、私もあなたの寂しさを理解できない』
変形ヤマアラシのジレンマですね。
遊びに来たえみり無邪気に聞く。『なんで結婚しないんですか?』『好きな人はいますか?』
『友達と呼ぶ人なら…』
槙生の脳裏をよぎる笠町くんとの出会いと別れ。

『友達でいい。恋人でいて嫌われるより、友達に戻って嫌われないでいたいんだ。俺を…遠くに置かないでくれ』
朝の件で世話にもなってるし、たまには飲みに誘ってみるのも…いやいやいや、と躊躇っていたら、未成年後見監督人の弁護士・塔野和成から直電。
用件は朝との個別面談でしたが、話の流れで塔野くんは小説を読まない(どころか映画も漫画も。フィクションを必要としない)人であることが発覚。
『物語を必要としない方なんですね』
『必要ですか、物語は。何故?』
『物語は私にとっては“匿ってくれる友人”でした』
匿う、何から? 多分、現実から。現実に不満も違和感も覚えない人に物語は不要なのでしょう。
高校で手芸部に入ったと言うえみり。無心に入り込んで、色々忘れちゃう感じというえみりに1枚のDVDを差し出す槙生。
『映画?』
『あなたが誰を好きになってもならなくても、それは罪ではないという話。…あなたを匿ってくれるかもしれないから』
ジャケにはまだ青いトマトがひとつ。タイトルは「Tomatoes」。なんでしょう? 「アタック・オブ…」の訳はないので「フライド・グリーン・トマト」あたりでしょうか。

『また難しい事言って。私にも何かお薦めして』
『マッドマックス 怒りのデスロード』
『何それ、怖い奴?』
朝、マッドマックスはホラーじゃないよ。「3」はお好みで飛ばしてもいいけど、「1」「2」「怒りのデスロード」は観ておけ。
これ👆な。
結局、笠町くんとは(ショートメールうっかり送信で)床ツルツルの中華屋で飲むことに。
改めて笠町くんを観察すると…
『笠町くんってさ、筋トレしてる?』
(いやいや、そんな馬鹿な…こんなにエロかったか?)
槙生まさかの発情モード。笠町の指先の動きひとつにあらぬ妄想掻き立てられ…。

槙生さん、ADHDだけじゃなく別の自分も囲っていらっしゃいます?(しかも複数人)
帰り道、公園ベンチで一休み。自然な流れでキスモードになりましたが槙生が自粛。
『ごめん、嫌だったか?』
『嫌じゃない…て言うか…滅茶苦茶したい』
ただ、笠町を大事に思う事と友人である事にこれは、何か泥を塗る気がして…。
『考えなくていいよ。友達の距離感で、干渉はしない。でも体は求めあう。ピンチの時には頼り合う。どうだ?』
『それあまりにも私がズルくない?』

(ただ、大切にするというだけの事が、こんなにも難しい)
『あなたさぁ、いい匂いするよね。出会った頃から思ってたけど』
『他の男は、そんな匂い、しないだろ?…違う?』
『違わないよ』
大人の恋バナにはいい匂いがいたします。
おまけ
中学生引き取って、自分の感情で別れた元カレと飲んで、夜道歩いて心情吐露してキス…槙生さんにはミサトさんのイメージが被ります。

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★本日2月11日は「万歳三唱の日」