デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【死者の書簡は訂正不能】違国日記 #7【放たれた言葉は誰を射る】

『人の目が気になるだけでしょ。好きなものもやりたい事も主義も主張も探求心もなんにもない! あんたに自分の持ち物が何もないだけ。自分の空虚を人に押し付けるな!』

ふと「ロッキー・ザ・ファイナル」の

『他人を指差して自分の不甲斐なさを人のせいにするな!』

を思い出してしまいました。


指弾、糾弾。否定しても拒否しても、その言葉は鏡を通して自分の元に。

「違国日記/第7話・書き残す」(2026年2月15日深夜TOKYO MX放送/川面真也演出)

今回は様々な組み合わせで心の闇を隠したり吐露ったり。

まずは槙生の元恋人(前回ちょっとより戻した)笠町くんと槙生の中学以来の親友・醍醐奈々。

ここで笠町くんが鬱を発症させていたことが発覚。

『泣いて、そのまま動けなくなってさ。何で俺が?って。もっと上手く立ち回れよ、やり過ごせよ、努力が足りないんだろ…言葉にしなくても周りに対して思ってたことがさ、全部自分に返って来たんだよな。自分が弱い立場の人間になるなんて、想像もしてなかった…傲慢だったんだ』


鬱病患者に対する禁句一番は「頑張れ」。笠町くんの鬱を知った時の槙生の反応は、

『一杯寝た?』

『ああ、滅茶苦茶一杯』

『じゃあ…良かったね』

なにこの距離感!(天使かよ!?)

その槙生は朝の親友えみりのママ美知子(ママ友?)と。えみりママは朝とその両親(槙生の姉とその内縁の夫)とも親交が。

『でも決断なさったんでしょう? 朝ちゃんの親になるって』

『いや、私は親にはなれません。なるつもりもないし。保護者ではあるけど』

『なれないことはないわよ。愛情があれば』

『彼女の親は、彼女をここまで育てた彼らしかいないんです。でももう、彼女が親から受け取るはずだったものは、どうしたって得られません。良い事も悪いことも』

(孤独を、絶望を、表す言葉をまだ知らないというのは、一体どんな苦しみだろう。生涯を掛けても見つからないことにさえ、私たちは怯えていなければならない)

『だから、今までもらったものでやりくりして行くしかないと思うんです』

槙生の話にえみりママ目が涙の溜池(『CM見ても泣くから』byえみり。『えみりママ、チワワみたい』by朝)。


中学卒業式のいきさつから、ちょっと面倒な人かも、と思っていましたが、価値観が少~し違うだけで良い人のようです(槙生が自分に厳しく、その意味で姉・実里と似ているかもしれない、と看破)。

そして朝はえみりと。最近男子に告られたというえみりに恋バナをねだる朝ですが、えみりにその気まるで無し。

『しつこい。とにかく作らない彼氏は』

『何それ? じゃあ、彼女ならいいの?』


無意識のうちに間合いを詰めて匕首光らせるのは母親譲りなんでしょうか。

にしても前回、一瞬でえみりのセクシャリティに気づいた槙生の洞察眼の凄さよ。

『あなたが誰を好きになってもならなくても、それは罪じゃないという話』

あの時、槙生に渡された映画のDVDを見て涙を浮かべているえみり。


槙生は笠町くんに朝の家で見つけた姉(朝の母)・実里が朝宛てに綴った日記の処置(渡すべきか否か、渡すとしたらいつが適切か)を相談。その話が偶然帰宅した朝の耳に。

日記? 何それ?

槙生留守中に家探し(とっちらかりがデフォなので、部屋荒らしても気づかれない)。見つけた。

(それは、大きな穴をのぞき込むような作業で…その暗い穴の底には、本当は母は私を愛していなかったのではないか、という怪物めいた恐怖が潜んでいたのだった)

『いつでも上手くやってきた。そのつもりだった。でも気づけば思ったようにいかなかった事ばかり。人生全然思い通りにならなかった』

その告解は日記に書かれていたのか、実里の心の叫びなのか。

朝の妊娠発覚時に拒絶された結婚。父親にはなる。しかし、夫にはなれない。

『そう…うん…わかった。…お願いね』

私は皆と同じで、ずっと普通で、何なら少し優秀で。皆と違うなんて変な事で…。

妹よ、あなたはどうやって、人と違う自分に耐えて生きているのだろう。

その精神状態で書き綴った朝宛ての日記。

『朝、お母さんは、あなたのことが大好きです』


死者の言葉は訂正不能。真偽の判定も不能。その文言は最早「呪い」。

『分かんないじゃん、そんなの! 嘘かもしれない…分かんないじゃん。なんだって書けるもん…分かんないじゃん…分かんないじゃん!』

1話の中によくぞこれだけの葛藤を…。

今回演出を担当した川面さんは「のんのんびより」のシリーズ監督。家も心も鍵いらず、な世界から「鍵を見つけて扉を開いてもそこにあるものが真実とは限らない」世界へ。

実里の日記の他にもうひとつ出てきたのが笠町ママの「お弁当レシピ」。良く見ると息子の好物に関するメモ書きも。

『彼女は、自分の思う完璧なものを与えていれば、俺が彼女の望む完璧な息子になると思ってたんだ。どっかで。それって…愛かな』

 

 

 

 

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★本日のTV放送【13:40~テレビ東京】

こちらの吹き替えは、スタローンささきいさお、ステイサム山路和弘、ラングレン大塚明夫、シュワ玄田哲章のオールスターバージョンです。ご安心を。