デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

0課の女 赤い手錠(ワッパ)

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濃いなあ。赤いエスプレッソだ。

「0課の女 赤い手錠(ワッパ)」(1974年/野田幸男監督)

演技ができない、表情がない、濡れ場がマグロという杉本美樹の負の側面が全て「クール・ビューティー」という魅力に転化した奇跡の1本。

スケバン刑事」「ロボコップ」「ニキータ」「炎の大捜査線」・・・全ての原点がここにある(よね?)。

SMプレイで友人殺した変態外交官を問答無用で射殺した女刑事、零。
拘置所にいれられるも事件が事件なのでなんとなく放置(笑)。

そこにもちあがった時期総理候補の娘の身代金誘拐事件。くだった指令は、

「外交官殺害は目つぶってやるから関係者全員ぶっ殺して生きたまま人質取り戻してこい!」

杉本美樹の無表情さと脱ぎっぷり(姦られっぷり)の良さも素晴らしいですが、脇を固めるメンバーの顔力が凄い。

もう眼力なんてもんじゃないです。顔の筋一本一本が自己主張しております。
特に誘拐犯リーダー役の郷英治。ほとんど「特撮」と言っていい表情です。

この郷英治が裏切り者の弟をビール瓶で撲殺するシーンが素晴らしい。
普通なら1発殴るとパーンと景気良く瓶が割れておしまいですが、何故かここだけリアリズム満開。

1発目「ボコ(鈍い音)」、2発目「ボコ(鈍い音)」、3発目でようやくパーン!
頭噴水、口イグアスな大サービス出血で弟悶死。

以前、グレート・ムタが藤波の頭をコーラの瓶で殴った事がありますが、この時も「ボク!」って音がしただけで瓶は割れませんでした(藤波は一撃でゆっくりとその場に倒れました)。

あからさまにペンキを塗りたくっただけの赤い拳銃、塗りが中途半端で所々地の銀が見えている赤い手錠、何かのふろくのような赤い警察手帳、翌年から始まる「G-MEN'75」にまんま流用されてるっぽいBGM、モロさそり二番煎じ風の主題歌、全ての「安さ」が「カルト」に昇華した突然変異の名作です。

今回はアメリカ版DVDで鑑賞。国内版発売希望です。