景気のいい音楽に乗って画面狭しと並ぶ紋々背負った男・男・男。
フンドシ一丁で匂い立つ半裸筋肉刺青男の群れは、そっち系の人なら悶絶必至。そんなマニア泣かせなタイトルロールで始まるのが、
「修羅の群れ」(1984年/山下耕作監督)
この映画が公開されたとき、私は川崎の映画館でモギリのバイトをしておりました。
休憩時間、ひとりの男性が私のもとに。
『兄ちゃん、この映画、頭んトコで紋々一杯出るやろ。ワシのもな、あん中に入っとるんや。ちょっと見せたろか?』
と上着を脱ぎ始めるではありませんか。
こんな所で遠山の金さんされた日にゃ一般客ドン引きです。
『だー、お客様、ここでのご開帳はご遠慮ください』
果たしてその背中にはどんな紋々が踊っていたのか(あるいは踊っていなかったのか)。
この「紋々おじさん」の印象が強すぎて、映画の印象が希薄になってしまいましたが、主人公・稲原龍二(松方弘樹)のモデルは稲川会総裁・稲川角二です。
因みに松方の兄貴分・横山新二郎(鶴田浩二)のモデルは、五代目山崎家一家総長・横山新次郎となっております。