まだロクに打ち解けてもいないのに、居合い抜きのように己を晒す人がいます。
『伊藤さん、ダイコン・フィルムってご存知ですよね』(昔の会社の同僚)
『伊藤さん、私、ディープ・パープルが好きなんです』(昔の取引先)
『伊藤さん、僕、ゾンビが大好きなんですが話す相手がいなくて』(某社営業)
皆、ほぼ初対面の時の会話です。しかも、映画や音楽の話をしていたわけでもないのに、唐突すぎる愛の告白。
人間の評価というものは誠に単純。相手が自分と同じ趣味や病気や性癖を持っていると分かった途端、血を分けた兄弟のようにうち溶け合う、なんて事がよくあります(え?ない?)。
例えば何かのはずみで今までちょっと距離をおいていた人が、
「旧UWF時代の佐山-藤原戦は凄かったよなー」とか、
「ボトムズの予告編暗記してるぜ、俺」とか、
「スキャンティーズって寺島まゆみと太田あや子とあと一人誰だっけ」とか、
「銃はやっぱりリボルバー。ピースメーカーもいいけど中折れ式がグッとくるな」
なんてことを言ったりしたら、お、こいつとは友達になれるんじゃねーか?なんて思うでしょ? 思うよね(思わない?)。
案外、隣に同好の士がいるかもしれません。ちょいと鎌をかけてみるのも一興かと。
※写真はダイコン・フィルム版「帰ってきたウルトラマン」