デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

パクリなのにオリジナル。 悪魔の墓場“無修正特別版”

イメージ 1


「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の正統なパクリ。

しかも、イタリア、スペイン合作で舞台はイギリスという「ヨーロッパ総力戦」。田舎が怖いのはアメリカだけじゃありません。

「悪魔の墓場」(1974年/ホルヘ・グロウ監督)


ロメロは「ナイト・オブ~」に“カウンター・カルチャー敗北の鎮魂歌”的想いを込めていたはずですが、そのキモの部分は華麗にスルー。

結果、原典に対して極めて不誠実な作りになっております(「環境破壊への警鐘」という取って付けたようなテーマはありますが)。

が、しかし! 良く観ると先駆的な映像と設定がそこかしこに。

本家「ゾンビ」より4年も早くはらわたびろーん、内臓もりもりをカラーで導入。

害虫の好戦本能を高めて共喰いさせる超音波という設定は「エクソシスト2」の良いイナゴ・悪いイナゴを思わせますが、これも本家より3年早い。

バッド・エンドは「オーメン」っぽいですが、オーメンの公開は76年。

唯一「凶暴な赤ちゃん」の元ネタ「悪魔の赤ちゃん」のみ前年73年の公開です。

DVD再見に当たって、警察の偏見てんこ盛りな捜査にもっとイラつくかと思いましたが、意外と気になりませんでした。

サスペンス・ミステリーとしても良く出来た「本歌取り」なパクリ映画です。

※日本で「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」が陽の目を見るのはまだ大分先なので、日本に於ける「初ゾンビ」は本作になります。