デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

女人禁制デンジャー・ゾーン? 横浜大勝館の思ひ出

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右も左もシネコンシネコン

小屋とか名画座が死語になりつつある昨今、思い出すのはこの劇場・・・。

「横浜大勝館横浜市西区末吉町)※最寄り駅は京急黄金町。

「痴漢電車5本立て」とかやってたと思ったら翌週は「松竹ヌーヴェルバーグ特集」だったりする急緩自在の武闘派劇場でした。

狭いロビーには2階席へ続く階段があり、壁には「2階女性席・同伴席」の張り紙が。

どういうことなのか? 答えは簡単。

「1階は危険だから女性は入ってはいけません」という事。

私は男で彼女がいない。問答無用で1階送り。

人間の饐えた臭いと、食い物・酒の匂い。一番前に座っても何故か自分とスクリーンの間に人影が。

1980年代半ば。そこは「天国と地獄」に出てきた黄金町から鐚一文時計の針が進んでいない浮浪者のワンダーランドでした。

この映画館のウリは「連日オールナイト」。入場料(600円位だったかな)さえ払えば、夏の日差しも冬の北風も雨露もしのげる路上生活者の命の砦だったんです。

当然、治安は良いとは言えず、横にカバンを置けば誰かが開けて中見てるし、私の友人はホモに言い寄られた事があるそうです。

これではいかん、と思ったのか、館主は連日オールナイトをやめて治安の回復を図りました。その結果・・・。

あっという間に潰れてしまいました。跡地は駐車場に。私の青春の墓標のひとつです。

※写真は大勝館で観た1本「オール・ザ・キングスメン」(1949年/ロバート・ロッセン監督)。他にもここでは「ジョン・フォード/ギデオン」「雨の午後の降霊祭」「パワー・プレイ」「未知への飛行」「ジョルスン物語」など渋~い名画を観させて頂きました。