何の根拠もないですが、映画の良し悪しを計る私的メジャーがあります。それは、
「食い物が美味そうに見える映画は良い映画である」
この1点に於いて伊丹十三は監督失格。「タンポポ」なんかあれだけ料理並べてひとっつも「ああ、喰いてぇ!」と思いませんでしたから。
三池監督の作品は見るたびに「ああ、中華喰いてぇ!」とか「ああ、きつねうどん喰いてぇ!」って思いますからね。と、長い枕を並べて本題。
「八月のクリスマス」(1998年/ホ・ジノ監督)
「八」と「8」を間違えるとエライことになりますが、勿論、韓国版オリジナルの方です。
この映画の静謐さ、真摯さは語り尽されていると思うので、意地汚く喰い物の話を。
家族が食卓を囲むシーン。舞台やテレビドラマではないので、カメラ用に一方を空けたりせず、全員がぐるっとちゃぶ台を囲んでいます。
つまり、テーブルに乗っている料理が見えないのです。にもかかわらず、実に美味そうなんですわ、これが。
恐らく鍋をつついているのだと思うのですが、何故見えないものがこんなに美味しそうなんでしょう。
ハン・ソッキュが入院している病院の食事ですら妙に美味そうです。あの光り輝くシルバー・トレーには魔物が潜んでいます。
庭で野菜を洗い、縁側でスイカを喰い・・・嗚呼、これってちょっと前の日本の風景じゃないですか。
おばあさんのシーン、泣けました。シム・ウナのミニスカポリス萌え萌えです。
長崎俊一監督には申し訳ないですが、日本版リメイクは色んな意味で駄目駄目です。