マスクして眼鏡かけて耳を音楽で塞いて人ごみを歩いた時に感じる「辺りの景色の嘘っぽさ」。
そんな非現実感(日常の「他人事」感)がよく出ている映画だと思います。
「エレファント」
(2003年/ガス・ヴァン・サント監督)
アイダホ州ポートランドが舞台ですが、モデルは勿論、1999年のコロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件。
これが高校襲撃をクライマックスにした娯楽映画だったら、実に分かりやすく、下世話で、いかんいかんと思いながらも大興奮、といった風情になったのでしょうが。
自分に関心のある対象以外はアウトフォーカスになる極端に被写界深度の浅い映像と、同じ事象を視点を変えて映すザッピンク的リフレインが、観客の進入を頑なに拒んでいます。
淡々とした日常、特に盛り上がるでもない危険な計画、そして実行。
面白いか?と聞かれれば「面白くはないよ」 つまらないか?と聞かれれば「つまらなくはないよ」・・人にお薦めはしないけど、妙に引っかかる映画です。
余談ですが、アメリカでは銃火器が通販で簡単に買えるんですねえ。主人公たちは「GUNS USA」というサイトでアスクルみたいに“お買い物”をしていました。