ドン・エリスの音楽が鳴り響いたた瞬間、ひれ伏したくなる「何をいまさら」な傑作ポリス・アクション。
「フレンチ・コネクション(の音声解説)」(byウィリアム・フリードキン監督)
“ドキュメンタリー・タッチ”という枕詞がついて回る本作ですが、DVDの音声解説でその正体の一端が明かされてます。
意識したのはコスタ・ガブラスの「Z」とゴダールの「勝手にしやがれ」。
ノースタジオ、オールロケ。カメラは手持ち。ドリーの代りに車椅子。
演技ではなく撮影がぶっつけ本番。入念なリハをした後にカメラマンが現場入り。
カメラマンはどの役者がどんな動きをするか分からない中で撮影開始。誰を捉える? 誰を追う? 全てがオーウェン・ロイズマンの一瞬の判断です。
ブルックリン橋の大渋滞は、非番の刑事(原作モデルのエディ・イーガンの同僚)総動員してぶっつけ無許可撮影(事情を知らない警察ヘリが飛んできて大騒ぎ)。
当然、あの高架下チェイスも無許可。スタントも仕込んでるけど大半は一般車。接触は事故。編集マジック爆発!
アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞、そして主演男優賞受賞(助演男優賞、撮影小、音響賞もノミネート)。納得です。
因みにコパカバーナ(ホンモノ)で歌っていた黒人女性トリオは売れる前のスリー・ディグリーズ(公開は71年。「荒野のならず者」は73年、「天使のささやき」は74年)。
本作と次作「エクソシスト」は監督に“何かが憑いていた”としか思えません(エクソシストの音声解説も必聴)。