誠意を以って接すれば、必ず相手も誠意を返してくれる・・んな訳ゃねえだろ!という有難い訓えです。
「ビリディアナ」(1960年/ルイス・ブニュエル監督)
フェルナンド・レイは脚フェチ(いや正確には靴フェチかもしれません)。
使用人の娘に縄跳びの紐を与えてその足元をじー。
亡き妻のウェディングドレスの靴に自らの足つっこんで恍惚。
足長おじさんでもある彼は妻の姪にあたる娘(尼僧)に求愛するも拒絶され、縄跳びの紐で首吊り。
娘は修道院に戻れず、貧しい人を友愛の精神で救おうとするのですが・・・。
キリスト教的善意を嘲笑うブニュエルのシニカルな視点が素敵です。
フェルナンド・レイの息子の台詞、「初めて逢った時に感じたんだ。君とはいつかカード(ゲーム)をするだろうって」の何という皮肉。
祈りを邪魔する轟音の挿入、乞食が構成する「最後の晩餐」、善意を暴力で返す男の腰紐になっている縄跳び紐・・。
『この館に我々を招き入れたのは神の御意思、さすれば神よ、償いたまえ』
1961年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するも、本国スペインでは冒涜的であるという理由で77年まで上映禁止。
監督(とカンヌ映画祭審査員)にとっては一種の勲章と言えるでしょう。
★ご参考