和泉聖治の劇場監督作なんか観るのは82年の「オン・ザ・ロード」以来です(「借王(シャッキング)」は観てないのよ)。
「相棒―劇場版―絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン(長いよ!)」(2008年/和泉聖治監督)
大観衆が集うビックイベントの裏舞台で警察と犯人の駆け引きが、と言うと「パニック・イン・スタジアム」とか「シュリ」を思い浮かべますが、そういう緊張感はビタ一文ありません(笑)。
この“のほほん”とした雰囲気はこのシリーズの味わいですし、テレビ局が金出してるのにメディア批判のような味付けがあったりして全体的な印象は悪くないです。
ただ、やっぱ無理のある設定が多すぎ。
もし、水谷豊が、「東京シティマラソンに掲載されているコース地図と同じ尺度の」「透明なチェスボードを」「ガラステーブルの上に」置いてなければ、この推理は成り立たない訳ですよね・・うーむ。
真犯人が実行犯を殺害したりアジトを爆破するのも理由不明。そもそもこの真犯人(あるいは実行犯)が青酸や火薬や拳銃をどうやって入手したのか。テロリストでもないのに時限装置を組み立てる知識や技術をどこで習得したのか。
場当たり的に見せ場を繋げるための設定なのは明らかですが、何となく許せてしまうのはひとえに水谷豊のキャラが立ちまくっているからでしょう。
ここは和泉聖治に「代表作」と呼べる1本が出来た事を素直に喜びましょう。