デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

脚本はない、ダンディズムがある。 エグザイル/絆

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ニック・チョンリボルバーに弾を1発入れると、アンソニー・ウォンがオートマチックのマガジンから弾を一発はじき出す。

6連発のリボルバーがフル装填された時、12連発オートマチックの残弾は6発。

6対6。この無意味なこだわりをダンディズムだと思える人にとって、この映画は珠玉です。

「エグザイル/絆」
(2006年/ジョニー・トー監督)


中国返還直前のマカオ。ボスに凶弾を放ったウー(チョン)。刺客として差し向けられたブレイズ(ウォン)とファット(ラム・シュー)。そしてウーを救いに来たタイ(フランシス・ン)とキャット(ロイ・チョン)。5人は幼馴染だった。

黒澤、レオーネ、ペキンパー・・トー監督が脚本無しで(ホンマかいな)心の動くまま赴くままに撮り上げたオマージュなノワール

私的印象は「メンタルな表現、特に説明的回顧シーンを徹底排除したVシネマ」

「DOA2」「龍虎兄弟」-(マイナス)幼少期回想=「エグザイル」

日本だったら絶対、5人の幼少期の回想入れちゃうでしょう。入ったら入ったでグっとくるのでしょうが、虚飾を排した事でウルトラ・ストイックなハードボイルドに仕上がりました。

あと前にも触れましたが、私は「食い物を美味そうに撮る」は名監督の条件だと思ってます。日本なら三池、韓国ならホ・ジノ、そして香港ならジョニー・トーです。

「ブレイキング・ニュース」の食事シーン(強盗+人殺し+人質一家)もいい感じでしたが、今回の刺客+反刺客+標的一家の食事シーンもなかなかでした。