デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

13年ぶり再見~新世紀エヴァンゲリオン最終話/世界の中心でアイを叫んだけもの

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「新劇場版:破」の番宣でTV版「新世紀エヴァンゲリオン」が日本テレビ深夜枠で再放送されました(・・テレビ東京の立場は?!)。

いやあ、褪せませんねえ。むしろ、醗酵して凄みが上塗りされたような・・。

新世紀エヴァンゲリオン最終話/世界の中心でアイを叫んだけもの」(1996年/庵野秀明監督)

日本中のお茶の間でちゃぶ台が宙を舞った“あの日”から13年。

当時と違うのは、最終話補完計画である「春エヴァ(DEATH&REBIRTH)」と「夏エヴァAirまごころを君に)」を体験して干支が一周している事でしょうか。

と言ってもTV版と劇場版はコインの裏表みたいなもので、「おまえらいい加減現実に帰れ!」という庵野の厭味(TV版)が、「お前らなんか大っ嫌いだ!」という叫び(劇場版)に拡声されただけで、本質的には同じものだと思いますが。

実際、TV版の中には劇場版の絵柄(撃たれて倒れているミサトやLCLに浮かぶリツコ)が使われているので、シンジの内面と周辺概況をザッピングしている感じなのでしょう。

放映当時は「自己啓発セミナー」と揶揄されていました(実際、その通りです)が、改めて見ると(監督が意図したかどうかは別にして)、般若心経の世界だなぁ、と。

補完計画は深般若波羅蜜多で、シンジが辿り着くのは「色即是空・空即是色」の世界観。

「真実は人の数だけある」、ただ「人ひとりが持てる真実はひとつ」、しかも「狭量な世界観で造られ、自分を守る為に変更された情報。歪められた真実」、しかし、それこそが真実、だとしたら真実は変えられる。

ってな事がテーマなのではあるまいか。

このドラマ、全編に渡ってキリスト教ユダヤ密教の用語がギミック的に散りばめられ、日本中がその言葉の面白さに踊らされていましたが、最期のオチ(福音。英語でEvangel)が仏教の悟りだとしたら皮肉な話です(って勝手に決め付けてますが)。

このエピソードは観た人個々の精神状態によって評価が分かれそうですね。内罰的傾向の強い鬱病患者には観るサプリになるかもしれません。