デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

モックンで1本選ぶなら。 中国の鳥人

イメージ 1

もう一度撮影に行く、と言ったらスタッフ、キャスト全員が声を揃えて「嫌だぁあ!」と絶叫するであろう天地果つる所のファンタジー

「中国の鳥人
(1998年/三池崇史監督)


なんせ監督自身が「今再び、俺たちはあの苦行に耐える事ができるのか? どう思う石橋蓮司よ」と問い掛けている程。

原作は椎名誠

「本場の中華でも喰って来いや」の一言で、鉱石採掘権の契約のための現地調査で雲南省の山奥に行くハメになった商社マン和田(本木雅弘)。

「お前、中華好きだったよな」の一言で、商社に貸し付けた借金の取り立て(カタとなる鉱石採掘権の確認)で雲南省の山奥に行くハメになったヤクザ氏家(石橋蓮司)。

二人を案内するのは滅茶苦茶な日本語(武士言葉のスラングみたい)を話す通訳兼ガイドの沈さん(マコ岩松。合掌)。

『さてはキサマがワダさんに相違あるまいの?』

走行中にドアのすっ飛ぶバン、トラクターを乗り継ぎ、さらに山を越え、亀が引くイカダで川を下り、着いた先は毛沢東という人が存在した事すら知らない”小数山岳民族の村。

そしてそこには空を飛ぶ人、鳥人の伝説がありました。

終盤、なし崩しに整合性が薄まっていく脚本の弱みはあるものの、伝統や記憶、更には電池の切れ行くレコーダーといった「儚さ」がそこかしこに滲み出た良質なファンタジーです。

おくりびとを借りたついでで結構ですので、是非ご覧ください。お薦めです。