『何故、キャパが偉大な写真家か分かるか? 苦しむ人間の気高さを追求したからだ。俺も撮るぞ。キャパのように。いつか』
マイケル・マン監督がロバート・キャパの伝記映画を撮るそうです。記念に今回は、キャパの崇高さの真逆にいるフォト・ジャーナリストのお話を。
「サルバドル/遥かなる日々」
(1986年/オリバー・ストーン監督)
ニュース・フィルム風映像を巧みに編集してポケモン・フラッシュ浴びせたオープニングから、「ああ、やっぱこのおっさんただのヤク中じゃねえわ」。
金無し家無し仕事無しの食い詰めフォト・ジャーナリスト、ボイル(巨根一代ジェームズ・ウッズ)が友人(ジム・ベルーシ)と連れ立って一山当てにエルサルバドルへ爽やかドライブ。
二人を待っていたのは内戦という名の“戦争”。
反逆者はもとより、身分証がないだけで片っ端から死体の山を築く“死の分隊”。その軍事独裁政権に武器援助しているのは他ならぬアメリカ合衆国。
洒落にならないテーマもストーンにかかれば一級のエンターテイメント。
君、それって人としてどうよ?なウッズの演技がハマってます(アカデミー賞ノミネート)。
被弾した同業者(ジョン・サベージ←冒頭の台詞はこの人のもの。しかし、この人しょっちゅう戦場行ってるな)の気道を確保するために喉にナイフをぶっ刺す時のためらいの無さが“ああ、この人も修羅場はくぐっているのね”って感じで素敵です。
DVDの映像特典「ドキュメンタリー:死の谷へ」は必見。文字通り“命懸け”の撮影だったことが良く分かります(もう一回撮影に行くと言ったら、スタッフ、キャスト全員が「嫌だあ!」と絶叫することでしょう)。
ストーンは相前後して「プラトーン」を撮ってますが、絶対こっちのが上だと思います(プラトーンって何度観ても途中で寝ちゃうんだ)。