デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

嗚呼ジョン・カザール・・。 ディア・ハンター(の音声解説)

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中途半端な画質レストアと5.1ch化を施して特典ディスクを付けた2枚組の廉価版が出たので買ってみました。

 


お目当ては監督の音声解説。

主要な登場人物以外、役者はひとりもいないという事実に唖然。

鉄工所の従業員は皆鉄工所の人、教会の聖歌隊も本物、結婚式の参列者は町の人たち、ケーキもシスターが作った本物、お祝いの品は「空箱にラッピング」が監督の指示だったのに、皆本当にプレゼントを買ってきた・・・。

なんとアクセル(チャック・アスベグレン)も現地の現場監督だったとは。

音楽は全てリアル。後から加工して被せたものは一切無し。皆、実際に「君の瞳に恋してる」を聞きながら歌い、演技をしていたという。

酒も本物。披露宴では皆、ローリング・ロックを飲み、ケスラーを煽り、好きなように騒いで愉しんでいたんだとか(デ・ニーロがコケたのは本当に酔っ払っていたから)。

など、素晴らしい話続出。ただ、ジョン・カザールに話が及ぶと口調が重くなります。

「彼のタキシードの下には放射線治療の跡が残っていた。彼は瀕死だった。彼はメリル(ストリープ)と暮らしていた。二人は深く愛し合っていた。彼の病気を知った会社は(撮影中死亡の)リスクを恐れて契約を解除しろと言ってきたが断ったよ」

そして、鹿狩りの日、デ・ニーロと口論したカザールが「俺を撃つのか。撃ってみろ」とシャツの胸ボタンを外して挑発するシーン。

「丁度開いたシャツの下には放射線を当てる為の照準が書かれていたんだ。まさか、あんな事をするとは思わなかった。このシーンは心が痛む」

他にも、ベトナムのシーンはタイロケで、あの河はクワイ河だとか、タイ人にとって頭は聖なる箇所なので殴る度に跪いて祈っていたとか(ビンタは本物。効果音無し)、3人はノースタントでヘリから落ちたのも本人だとか、貴重なエピソードがてんこ盛り。

この音声解説のためだけでも買い直す価値はあります。