例えば「ゲッタウェイ」のような終り方だって出来たでしょう。
彼女と二人、大金せしめて見知らぬ土地へ・・。
勿論、そんな事にはなりません。なぜなら主役がスティーブ・マックイーンではなく、ウォーレン・オーツだからです。
メキシコ。観光客相手のバーのしがないピアノ弾きベニー(ウォーレン・オーツ)は、馴染客アルフレッド・ガルシアの首に懸賞金が掛かっている事を知ります。
そして当の本人はつい最近、事故で死んだという事も(ついでに自分の彼女とデキていたという事も)。
アルは俺が殺した事にすればいい。首を証拠品に差し出して、大金をせしめよう・・。
奴の故郷に行って、墓を暴いて首を斬る・・簡単なことじゃないか。その金で彼女と二人、見知らぬ土地に行ってやり直そう。
しかし、人生リセット計画は大失敗。生首の争奪戦でそこかしこに死体の山。
生首になったとは言え、かつては同じ女を愛した男。屈折した奇妙な友情。腐乱した生首抱えてベニーはカタをつけに行きます。
“OK,AL. LET’S GO!”
もし、アルが口をきけたなら、きっとこう言ったでしょう。
“WHY NOT.”
要所要所でペキンパー得意のスローが冴え渡る究極のバディ・ムービーです。