クリント・イーストウッドのあれでもバート・ランカスターの古典でもありません。
三池・武智コンビによる「荒ぶる魂たち」「烈火」に続く“同じ話”シリーズ第3弾。
「許されざる者[獅子の決戦/獅子の鎮魂歌]」(2003年/三池崇史監督)
冒頭、“青少年に相応しくない描写”があるとのテロップ。ちっと裸が出てくる程度でこのような表現は使いません。
目の前で総長殺(と)られた梓(加藤雅也)。ヒットマンは種違いの実兄・軍司(藤竜也)。
雇い主は敵対する組、と思いきや上部組織の双元会、と思いきや、実はここも子受け孫受け。黒幕はさらに・・。
大人の事情なんか知ったことか!と「復讐」の二文字を胸に暴走する梓。
三脚なんか持っとらんわ!と「手持ち」の三文字を胸にこれを追うデジカメ。
なんせ最終目標まで距離があるので、躊躇している余裕がありません。築いた死体の山は三池作品の中でも3指に入るのでないかと思います。
加藤は白のスーツでキメキメ(銃はシルバーのマグナムでホルスターも白。勿論、部屋には「スカーフェイス」のポスター)。全編「男たちの挽歌2」なカチコミ満載。
ついでに三池監督の出自である「ハングマン」までセルフ・リスペクト。
加藤の相方に北村一輝、恋女房に相田翔子、兄貴分に美木良介、頭に根津甚八、藤竜也の相方に石橋蓮司、矢文代わりにボーガン飛ばすお茶目なゲイ・スナイパーに平田満。
平田が“ユージュアル・サスペクツ”する必然性が全く理解できませんが、平田に銃突きつけられた時の加藤の表情は実に耽美でノンケの私もグッときてしまいました(笑)。
線路に転がされて『普通に死にてぇよお! うわ来た! 特急だよありゃ!』と泣き叫ぶ遠藤憲一が相変らずナイスです。
★ご参考