昨日の「あ、スタローン」と対で「あ、シュワルツェネッガー」という見出しにしようと思っていたのですが、あまりの字幕の酷さに方針変更。
「ロング・グッドバイ」(1973年/ロバート・アルトマン監督)
レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」の映画化(説明不要ですよね)。
原作の50年代を70年代にアレンジしていますが、最早50年前も30年前も関係ありません。
主役フィリップ・マーロウにエリオット・グールド。松田優作が「ヨコハマBJブルース」「探偵物語」でリスペクト満開したのは有名な話。
音楽ジョン・ウィリアムスで、撮影がビルモス・ジグモンド。豪儀な面子です。
この名作の雰囲気を一人でぶち壊したのが、字幕翻訳の篠原有子。
バーでのオーダーが「Cとジンジャー」。なんだよCって?
正解は「CC&GINGER」。CC=カナディアン・クラブです。
マーロウがニュアンスを変えて何度も口にする「It’s OK With Me」もその場その場で適当に訳すものだから、面白さが全く伝わってきません。
そしてトドメが、ラストのキメ台詞「Yeah, I Even Lost My Cat」。
「所詮お前は負け犬だ」「ああ、おかげで猫にも逃げられた」・・これを「そうかもしれない」って、おい!
戸田さんの場合は、日本語不自由による誤訳ですが、この人の場合は完全に手抜き。台詞の持ち味を字幕で掬うという作業をハナっから放棄しています。
DVDで観る時は、一度日本語字幕でストーリー掴んでから、英語字幕で観る事をお薦めします。
余談ですが、映画版ラストは原作と大きく異なります。この関係で、レノックスとマーロウの淡い友情というファクターが抜け落ち、結果、二人でギムレットを飲むシーンも割愛されてしまいました。
「ギムレットにはまだ早い」の台詞がないのは、ちと残念でした(でも猫がかわいいから許す)。
★原作に関してはこちらを。