“ハードボイルド”の定義は人それぞれだと思いますが、私は“多くは語らず、客観的行動描写で主人公の内面を表現”する手法だと思っております。
その意味でこの作品は「ハードボイルド」ではありません。ありませんが、好きです。
「さらば愛しき女よ」(1975年/ディック・リチャーズ監督)
どれだけの亜流・パクリ・二番煎じ・エピゴーネンを産んだか分からないお話は、今となっては始まった瞬間にオチが分かってしまいます。
フィリップ・マーロウにしては歳喰い過ぎ眼タレ過ぎのロバート・ミッチャムが全編通して喋り過ぎ(笑)。
それでも、濡れたアスファルトに滲む原色のネオンとタリア・シャイア元夫の倦怠感溢るる音楽で掴みはOK(写真はサントラ・ジャケット)。
デッカードの語り満載な劇場公開版「ブレードランナー」って、この線狙っていたのかもしれませんね。
良く観れば若き日のスタローンが・・ってクレジット見たらデビッド・キャラダインも出てたのか。「デスレース2000年」と同じ年にライバル同士が競演しているとは奇遇な。
シャーロット・ランプリングの完璧なシルエットは何事? 登場の仕方が「エンゼル・ハート」と一緒じゃないですか(いや正確には「エンゼル・ハート」の登場の仕方が「さらば愛しき女よ」と一緒、なのですが)。
年のせいか、ロバート・ミッチャムの動きが緩慢で、銃撃シーンの緊張感とかまるでないのですが、そうとうヤバイ局面にも係らず全く動じていない太っ腹さは“いい感じ”でした。