テレビで観ただけの映画に文句垂れるのも如何なものかとは思いますが、私どうしても「突入せよ!あさま山荘事件」が赦せんのですよ。
あさま山荘事件を警察目線で語る? なんじゃそりゃそりゃ(しかも壊滅的につまらない)。
本来なら長谷川和彦監督が撮るはずだった「本格的連合赤軍映画」ですが、まあ色々あって沈黙する事30年(笑)。
盟友・伴明は劇中劇という変化球に逃げ、ついに御大が腰を上げる事と相成りました。
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(2007年/若松孝二監督)
実録の名に恥じぬ190分!(長くない!)
ニュース・フィルムや写真を交えながら、学生運動が武力闘争に先鋭特化していく様がサクサクと描かれる前半は快調。これが中盤の山籠もり軍事教練(山岳ベース)で一気に陰惨化。
終わり無き総括強要と自己批判、リンチ、粛清という名の処刑(死因は敗北死!)。
これ現場も相当テンパッてたんじゃないでしょうか。自ら顔面を破壊する遠山美恵子を演じた坂井真紀は凄絶。永田洋子役の並木愛枝は冗談事じゃない憎々しさ。
何故、外に向くべき力が内に向かって行ったのか、がスルーされているので展開としては弱いのですが、有無を言わさぬ気迫が漲っています。
余談ですが、私が昔いたコンサル会社に“葛藤超越トレーニング”という営業マン鍛錬プログラムがありました。
営業マンが作成した「計画書」のアラをコンサルが呵責なく指摘し、本人が自分の甘さを“自己批判”して泣くまでその手を緩めないという鬼研修でしたが、原型はここにあったんですね。
そして終盤は、あさま山荘篭城へ。ここでのリーダー坂口を演じるのはARATA(13番田村マサオだ!)。
さて、赤軍視点での実録は、本作により完結を見た訳ですが、どうするよゴジ(長谷川和彦)さん。それでも俺はゴジさんの連合赤軍が観たいぞ。
※その願いは叶いませんでした。合掌。