『約束どおり、おじさんのお船を頂戴。おとうさんは元気よ。おじさんこそ自分が生きていると勘違いしてるんじゃないの。さあ、行きましょう』
その足跡には六文銭。
“生きている人は死んでいて、死んだ人こそ生きているような。むかし、男の傍には、そこはかとない女の匂いがあった。 男には色気があった”
原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代・・熟れ熟れの色気が百花繚乱。
「ツィゴイネルワイゼン」
(1980年/鈴木清順監督)
赤、黒、格子。夢と現とあの世とこの世。時間からも距離からも解放された極彩色の清順美学。
ドーム型移動映画館「シネマ・プラセット」での上映が話題でしたが、私が観たのは有楽シネマ。1回くらい行っておけばよかったな。
役者としてぴたりと嵌った藤田監督にも驚きましたが、大谷直子が素晴らしすぎ。両乳出して頭上でぱちりと指を鳴らすカットの摩訶不思議さったら。
脚本は田中陽造。元ネタは内田百閒の「サラサーテの盤」。
『ん? 君、今何か言ったかい?』