シリーズ中、最もアグレッシブで前のめりでアシッドな名作「必殺からくり人」
必殺と言えば、仲間も信用しない一匹狼の殺し屋が、正義ではなくビジネスとして悪を討つ、というのが基本フォーマット。
ところが、からくり人は一味違います。
全員が島抜けの罪人。血よりも濃い擬似家族。金より正義。メイン・ライターに早坂暁を迎えた異形の13話がケーブルに登場。偉いぞ、チャンネル銀河。
特に名作と名高いのが、ギャラクシー賞を受賞した第2話。
冒頭、舞台出待ちの山田五十鈴が瞽女について語る現代のインタビュー映像を挟んで本編スタート(お洒落ですよねえ)。
船上、津軽じょんがらを演奏する仇吉(山田)。橋の袂から、その調べにぴたりと合わせる謎の女。
『ああ、驚いた。まるで匕首をつきつけるみたいに合わせてくるんだもの』
女は越後から7年かけて江戸に辿り着いた瞽女おゆう。母の命と金を奪い、自分の眼を奪った男・弥蔵を捜し求めて。
弥蔵は生き地獄のような水飲み百姓に生まれた運命を呪い、奪った金で身なりを整え、大棚の未亡人をたぶらかし、火を放ち金を奪い、今は江戸で大名も頭を下げる高利貸・大蔵屋となっていた・・。
仇吉とおゆう、二人が奏でる津軽じょんがらと北国の絶望の心象風景のような挿絵が被害者・加害者双方のどん詰まり感を強調して切なさ倍増。
富と地位を得た代償は顔面の大火傷。人前に出る事無く一人越後を想う弥蔵。
菩薩花火の夜、仇吉、時次郎(緒形拳)、天平(森田健作)、藤兵衛(芦屋雁之助)らの手助けで本懐を遂げるおゆう。息絶える弥蔵。
『越後から出て来ねばいがった・・越後から出て来ねばいがった・・』
岡田英次扮する弥蔵が、ただ、こいつ悪い奴ですよ、という記号としての悪人ではない所が話に深みを与えています。
しつこいようですが、ジャニーズDE必殺なんぞ足元にも及びません。