『死んじゃおうかな』(南里幸プロデューサー)
「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」で鳴り響いていた不協和音の答えは全部ここにありました。
「GAMERA 1999」(1999年/摩砂雪監督)
138分に及ぶ“本編より長い”メイキング映像です。
監督が摩砂雪で、総監督が庵野秀明ですから、当然目線は“樋口寄り”。
円谷英二が築いた本編監督と特撮監督の2班体制というゴールデン・フォーマットが軋みを上げて瓦解していきます。
「今回は浅黄(藤谷文子)が出ないのが理想なのに、金子さんが猛烈に反対して」
「だからそういう事を樋口っつぁんが言わなきゃ駄目なんだよ、金子監督に」
「1作目の時はとにかくやらなきゃって勢いがあったし、2作目もネガティブ、ポジティブ含めて勢いはあったけど、今回は何にもないからね」
「受けた時点で勝ちはなかったんだよ」
「じゃあガメラ3をやる価値ってどこにあるの?」
「映画としての面白さも検証したかったら(コンテを)貼り出したけど、全然面白くないよ」
「どうしてあらゆる局面で危機また危機なんだよ!」
「死んじゃおうかな・・」
遂には摩砂雪のヤラセ指示で、南里プロデューサーが自転車漕ぎながらガメラを絶賛する独り言(ガメラ最高すよ~。ホント大傑作ぅ~)を言うシュールな自虐ギャグまで。
この後、樋口っつぁんは、全てを自分で管理・表現できる「本編・特撮総監督」へ。
ただ、この選択が正しかったのかどうかは現時点ではなんとも(いや、現時点でははっきり失敗なのですが・・)。
「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」、まあ、色んな意味で罪な作品でありました。
★樋口っつぁんの華麗なる監督作品はこちら↓