デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

確執とジレンマの協奏曲。 GAMERA 1999

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『死んじゃおうかな』(南里幸プロデューサー)

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」で鳴り響いていた不協和音の答えは全部ここにありました。

「GAMERA 1999」(1999年/摩砂雪監督)

138分に及ぶ“本編より長い”メイキング映像です。

監督が摩砂雪で、総監督が庵野秀明ですから、当然目線は“樋口寄り”

円谷英二が築いた本編監督と特撮監督の2班体制というゴールデン・フォーマットが軋みを上げて瓦解していきます。

「今回は浅黄(藤谷文子)が出ないのが理想なのに、金子さんが猛烈に反対して」

「だからそういう事を樋口っつぁんが言わなきゃ駄目なんだよ、金子監督に」

「1作目の時はとにかくやらなきゃって勢いがあったし、2作目もネガティブ、ポジティブ含めて勢いはあったけど、今回は何にもないからね」

「受けた時点で勝ちはなかったんだよ」

「じゃあガメラ3をやる価値ってどこにあるの?」

「映画としての面白さも検証したかったら(コンテを)貼り出したけど、全然面白くないよ」

「どうしてあらゆる局面で危機また危機なんだよ!」

「死んじゃおうかな・・」

遂には摩砂雪のヤラセ指示で、南里プロデューサーが自転車漕ぎながらガメラを絶賛する独り言(ガメラ最高すよ~。ホント大傑作ぅ~)を言うシュールな自虐ギャグまで。

この後、樋口っつぁんは、全てを自分で管理・表現できる「本編・特撮総監督」へ。

ただ、この選択が正しかったのかどうかは現時点ではなんとも(いや、現時点でははっきり失敗なのですが・・)。

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」、まあ、色んな意味で罪な作品でありました。

 

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