作り手のベクトルがそれなりに同じ方向を向いていた前2作と比べ、なんとも歪(いびつ)な畸形的怪作となってしまいました。
「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」
(1999年/金子修介監督)
絵的な素晴らしさは随所にあります。
渋谷壊滅地獄絵図。吹き飛ぶ一般人(史上初の人的被害描写)。海底に広がるガメラの墓場(正確にはガメラ失敗作←エヴァですね)、満月を背に羽を広げるリリス、じゃないイリス(やっぱエヴァだ)。
そして豪華女性陣。復活・中山忍(ミニスカート!)、ロリ代表・前田愛(ミニスカート!)、熟女代表・山崎千里(ミニスカート)、そしてセガール娘(何でお前だけパンツルックなんだ!)。
で、この豪華なキャスティングが物事を妙な方向に捻じ曲げてしまったようです。
“ガメラに両親を殺された恨みをイリスに託す”少女綾奈(前田愛)のキャラに感情移入できるかどうかが評価の分水嶺だと思うのですが、これが難しい。
作り手の愛情を感じないんですね。
本来、イリスと交感する役割だったはずの巫女・朝倉(山崎千里)も掘り下げが浅くて手塚とおるとセットで単なる色物。
前作で綺麗にオチがついたセガール娘に登場の必然性無く、結果、主役であるはずの長峰(中山忍)が完全にピンボケ。
伊藤さん(脚本)そうとう煮詰まっていたみたいで、「風呂敷広げて畳む気無し」な展開はほとんど「うる星やつら」(笑)。
何がここまでガメラを歪めてしまったのか、の答えはメイキングビデオ「GAMERA1999」の中にありました。これに関しては次回。
あ、そうそう、イリスにちゅーちゅーされちゃう女性キャンパー、仲間由紀恵(新人)だったんですねえ(何故かしみじみ)。
★ご参考