デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

フカキンvsヨロキン。キアヌ乱入? 赤穂城断絶

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キアヌ・リーヴス赤穂浪士を演じる(この時点で意味が分かりませんが)「47RONIN」なる映画が作られているとか(くどいようですが意味が分かりません)。

記念して(?)これを。

赤穂城断絶(1978年/深作欣二監督)

忠臣蔵を“仁義なき実録路線”として再構築したいフカキンと、人生初の大石内蔵助役を“色物”にされてたまるかと粘るヨロキンの一大攻防戦。

まあ、萬屋錦之介の気持ちも分からんではないですが、ここは縦に横に揺らめくカメラで高家吉良家家老、小林平八郎、慙死”というテロップが踊る実録路線を観たかったですねえ。

とは言え、深作らしさも随所に。

まずは冒頭。前後の諸事情かっ飛ばして、いきなり松の廊下。

畳替えも塩田の話も無し。いいんだよ、遺恨が残りゃと言わんばかりの潔さ。

他にも南部坂雪の別れやら「知ってんだろ?」なシーンをがっつり割愛(そのくせ瑶泉院がこの時の振る舞いを後悔する台詞はある)。

かわりに、仇討ち強硬派でありながらこれを果たせず、遊女と心中(映画では女郎となった妻に刺される)した橋本平左衛門近藤正臣)を大胆フィーチャー。

身をやつした妻・はつ役の原田美恵子がそそるそそる。

浪士切腹のシーンを敢えて撮らず、遺髪の乗った白木の棺桶の列を大石が眺める、というくだりは詩的な美しさを湛えています。

興行的には振るわず、「柳生一族の陰謀」で巻き起こした時代劇ブームを自ら終焉させた問題作ってな事になっていますが、これはこれで見応えのある力作だと思います。

しかし、深作この年だけで「柳生一族の陰謀」「宇宙からのメッセージ」「赤穂城断絶」の3本撮っているんですよね・・。スゲー人だ、ホント。

 

★ご参考