一般的にこの映画、ラウレンティス/ギラーミン版「キングコング」(1976年)のパクリ便乗バッタモンと思われているようですが、とんでもない誤解です。
公開が本家の2ヶ月遅れになったのは版権クリアに手間取ったために、日本からの協力部隊(黒田義之率いる大映の「大魔神」スタッフ)のビザが切れ、特撮班総入れ替えという「事件」があったから(最終的には、東宝の円谷組が特撮を担当)。
結局、版権交渉と特撮スタッフ総入れ替えが公開の遅れにつながり、興行的な成功は収められませんでしたが、内容はぶっちぎりでハリウッド版に圧勝しています。
ギラーミン版コングでごっそり欠落していた「エロ」と「破壊」がてんこ盛り。
サバンナで像の大群、ジャングルでは人喰い虎に底なし沼、ナバロンの要塞が裸足で逃げ出す断崖絶壁(本当に登っているように見えますが何人か死んでるんじぇねえか)・・。
そして!金髪半裸の女ターザン!(化粧も無駄毛のお手入れも完璧だぜ!)
ここいら辺は流石香港! 客のツボをよっく分かってまいます。
で、北京原人! なんと言っても特技監督が「五郎とゴロー」も手がけている有川貞昌。類人猿はお手の物です。
原人をどうやって山から下ろしたのか、どうやって船に乗せたのか、なんて所を「いいじゃねえか、そんな事どうだって。女ターザンが説得したんだろ」ってな感じすっ飛ばしているのが実に潔い(笑)。
もちろん、クライマックスは、原人が香港で大暴れ!なのですが、香港市街地のミニチュア・セットが凄ぉい!
原人はでかいと言ってもゴジラのような怪獣ではないので、相対的にビルの方が大きくなります。つまり、ミニチュアの縮尺率が小さいのですよ。
サイズがでかいという事は、作り込みが半端じゃないという事。身の丈を優に超えるサイズのビル群はなかなかに壮観です。
主演はどの映画に出ても必ず美女をはべらせている色男ダニー・リー。
今回は元カノと女ターザンに挟まれて悶々嬉々なアホタレ冒険家を熱演しています。
※ご参考