鉛を飲んだ後に砂を噛んだような索漠感。 チェイサー
「女を売り飛ばしたりなんかしてません。殺しました。ノミと金槌で。吊るして足首斬って血抜いて・・抜かないと重くて運べないので。埋めました。全部で9人、いや12人」
韓流と言うと、「とりあえず白血病」なおととい栓抜いた周回遅れの大映ドラマ、というイメージがありますが、これが何故かサイコ/ホラー映画になると突如、宇宙が変わります。
情け無用、容赦不要、非難上等、カタルシス糞食らえ。
「カル」「箪笥」「四人の食卓」「オ-ルド・ボーイ」「殺人の追憶」「復讐者に憐れみを」、そして、
「チェイサー」(2008年/ナ・ホンジン監督)
21人を殺害(供述は31人)した韓国犯罪史上最悪の殺人機械“ユ・ヨンチュル(柳永哲)”(事件発覚2004年、死刑確定2006年)をモデルにしたサイコ・スリラー。
デリヘルを運営しているジュンホは元刑事。悩みの種はデリヘル嬢の連続失踪。
「くっそー、手付金ガメて逃げやがって。見つけたらぶっ殺してやる!」
ところが、消えたデリヘル嬢は皆、同じ携帯番号の男に呼び出されていた。今、送り出したミジンの客は・・げ、同じ番号だ!
忽然と消えたミジン。早々に犯行を自供する犯人ヨンミン。あいまいな証言。揃わぬ証拠。一体も見つからない死体。
ミジンの発見・救出なるか(そもそも生きているのか)が、サスペンスの縦軸になるのですが、いやあ・・(絶句)。
「殺人の追憶」もそうでしたが、とにかく警察が無能の極み。
面白い・つまらない・好き・嫌いの判断はさておき、鑑賞中のジットリ感と鑑賞後のグッタリ感は保証します。
恐るべしコリアン・ホラー。
※参考:「四人の食卓」→2009年3月18日