ロバート・ジョンソンの「クロスロード伝説」をモチーフにした“ブルースの寓話”・・なのですが・・。
「クロスロード」(1986年/ウォルター・ヒル監督)
ロバート・ジョンソンが録音した幻の30曲目を知る老人ウィリー(ジョー・セネカ)とブルースに憧れるギター・キッズ、ユジーン(ラルフ・マッチオ←ベスト・キッドね)の二人旅。
悪魔と契約した者がもう一人いた(つまりクロスロードの伝説は実話だった)という設定はナイスです。
その契約者がウィリー。彼の目的は、ユジーンをダシにしてクロスロードまで行き、悪魔に契約解除を申し出る事。
プロットだけ見るとスゲー魅力的な話なのですが、語り口が妙にもっさりしていて歯切れが悪く乗るタイミングが掴めません。途中から加わるお姉ちゃんフランセス(ジェイミー・ガーツ)も単なるアバズレで何しに出てきたのやら。
悪魔が出した契約解除の条件は、「俺の指定する相手とギター合戦をして勝つこと」。
ウィリーの代わりにユジーンが受けて立ちますが、相手はフランク・ザッパ最期の弟子“変態ギタリスト”スティーヴ・ヴァイ!(写真上)
この映画、何が気に入らないって、ユジーンがジュリアードの生徒なのよ。特待生っぽいから裕福ではないかもしれませんが、要するに音楽エリート。
で、ヴァイの圧倒的ギター・プレイに追い詰められたユジーンが弾くのが、ジュリアードで培ったクラシカル・フレーズ・・・結局ロックよりクラシックが格上ってか。
そもそもブルースのRPGだったのに、ボスキャラがメタル・ギタリストで、リーサル・ウェポンがクラシックってどーいうこった?
ヒル監督、実は十字路の絵柄が撮りたかっただけなんじゃないでしょうか。
まあ、ヴァイのギター・プレイ(ユジーンが弾くフレーズもヴァイの吹き替え)と演技(?)でギリギリ及第点ですが、“ロックの寓話”に比べると何ともパッとしない印象です。
★ロックの寓話