『人と同じは嫌だ! いつか大物になってみせる。だから、モッズなんだ!』
いや何が悲しいって、こういう映画を観て「全く若い奴らは」なんて分別臭い感想が最初に出てきちゃう自分を発見する事くらい悲しいことはありません。
国も文化も違いますが“Don't Trust Over 30”とは良く言ったものです(通り過ぎて幾星霜・・・遠い目)。
「さらば青春の光」(1979年/フランク・ロッダム監督)
モッズとロッカーズという文化的民族抗争(?)の喧騒と寂寞、祭りの熱狂と幼年期の終わりを描いた青春映画の佳作です。
原作はThe Whoのコンセプトアルバム「四重人格」ですが、1964年という時代を切り取るために当時流行った楽曲がわんさか流れて結構ご機嫌。
主人公ジミーのフェイバリットはキンクスの「You Really Got Me」。公衆浴場(シングルのバスタブが大用トイレのように並んでいる)でチ●コ丸写し(多分包●)でがなっております(いいシーンだ・・)。
モッズもロッカーズもやっている事はフーリガンと変わりがないので、共感はできないのですが、“何をやってもうまくいかない”どん詰まりの焦燥感はよく出ています。
当初ジミー役はフィル・ダニエルズではなく、ジョニー・ロットンだったそうです。台詞も完全に覚えてオーディションも通過したのに、保険会社の反対(撮影期間中に必ず問題を起こして、製作に支障を来たすに違いない)で流れてしまったんだとか。
保険会社の判断としては正しいですが、もしロットンが演って(かつ映画がちゃんと完成して)いたら、今とはまた違う味わいになっていたと思います(すげー観たい)。
音楽業界からは伝説のモッズ役でスティングが。劇中、彼のダンスを皆が「カッコイイ!」と褒めていますが、どう見ても動きが変(笑)。何故か上半身しか写さないし。
メイキングでも共演者が「スティングは踊りが下手だった」と述懐。のみならず、彼がスクーターに乗れなかった事まで暴露(モッズなのに!)。良く見ると自転車に乗れない子供のように足がちょこちょこ地面に着いてます(スティング、ダセー!)。
1度目と2度目ではかなり印象が変わると思います。むしろちょっと突き放して観た方が色んな発見があって楽しいかもしれません。