デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

イタリア警察はカラス以下。 オペラ座/血の喝采

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ただでさえ理屈無用な監督の作品を製作会社(オライオン)が勝手に再編集したもんだから、全編疑問符の嵐。

それでも「辻褄も合理性も知らん。俺はこの画が撮りたかったんだあ!」なシーンが素ん晴らしいので、俺的には無問題(←完全にパンチドランカーになっています)。

オペラ座喝采

(1988年/ダリオ・アルジェント監督)


不幸を呼ぶと言われるオペラ「マクベス」。その主演女優が初日当日交通事故。

代役プリマに指名された新人ベティ(クリスティナ・マルシラック)の周りで連続猟奇殺人事件が。

舞台では壮麗なオペラ、殺戮シーンではメタルという使い分けが馬鹿っぽくてナイス。

ベティの目の下に無数の針を貼り付け、瞼を閉じられない状態で殺人を見せ付けるシーンは犯人の倒錯具合を見事に表していてアルジェント節満開。

犯人の素顔を“目撃”しているカラス(の軍団)をオペラ座に放ち、客席にいるはずの犯人を襲わせるという常識を華麗にフライングしたアイデアが秀逸。

この時のカラス目線の鳥瞰移動ショットが実に素晴らしい。

ドアの覗き窓を突き抜ける銃弾の超クローズアップ&スローモーションとか、その必然性の無さに痺れます。

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犠牲者はダリア・ニコロディ。


時折挿入される“脳みそがブルンと痙攣する”イメージ・ショットとか、特に後ろめたい事情があるわけでもないのに殺人現場に居合わせた事を黙秘する主人公とか、窮地に陥った主人公を助けるために何の前振りも無く登場する少女とか、監督を居酒屋で小一時間問い詰めたいシーン目白押し。

アルジェント作品に於けるイタリア警察は常に“肝心な時に役に立たない”存在ですが、本作は“役に立たない度”ナンバー1かもしれません。カラス以下です。

オライオン編集前の「完全版」が観たいなあ。


★という訳で完全版はこちら。 

mandarabatake.hatenablog.com