朝もやの中、のんびりと湖面を滑る手漕ぎボート。
先行する1艘に漕ぎ手が二人。牽引されているもう1層にはブロック括りつけられた男が二人。
さてと、と振り向いた漕ぎ手の男がおもむろに後ろのボートにライフルをドーン!
ぶくぶくと沈んでいくボートとブロック男。やがて湖面は静寂と陽光に包まれて・・。
爽やかなオープニングだなあ。
「白熱」(1973年/ジョセフ・サージェント監督)
ジェームズ・キャグニーのギャングもの、ではなく、バート・レイノルズのアクション映画です。
服役中のゲイター・マクラスキー(バート)は、弟が湖で謎の溺死を遂げた事を知って怒髪衝天。
地場の密造酒グループと結託している保安官(ネッド・ビーティ)が怪しいと睨んだゲイターはFBIと取引、保安官の汚職の証拠を掴むことを条件に仮出所。
FBIがゲイターの足として用意したのが、フォード・カスタム500。この車が本作の事実上の主役です。
昨今のCGまみれのカーチェイスと違い、派手さはないですが、ハンドリングひとつ(コーナリング、ターン、巻き上げる砂埃・水しぶき)で映画の“画”は十分に作れる事を証明しています。
ただ、如何せん話の中心が潜入捜査なので、アクションを繋ぐドラマ部分がなんとも地味。
脚本もツメが甘く、そんなオチでいいんなら、とっとと復讐しちまえば良かったじゃん、と突っ込むことしばし・・。
それでもどこか飄々とした悪役ネッド・ビーティと若くて元気なバート・レイノルズ、そして腰の据わったカー・アクションとそれなりに魅せてはくれます。
気に入った人は、続編「ゲイター」もどうぞ。