『まだ病院はあった、無事なんだ。子供たちを助けなければ。誰か手を貸してくれ!』
古き良きアメリカ映画と言ってしまえばそれまでですが、こういう映画を観ると、「ダンテズ・ピーク」とかが如何にCGだけに頼り切った中身の無い作品なのか良く分かります。
「4時の悪魔」(1961年/マーヴィン・ルロイ監督)
タヒチから800kmの小島タウル。
ハリー(フランク・シナトラ)とその仲間2名は、タヒチの刑務所で看守を刺して脱走したものの再逮捕・再収監。移送途上にこの島へ。
到着早々悶着を起こした彼らを島の偏屈神父ドゥナン(スペンサー・トレイシー)が病院使役として一時貰い受けることに。
トラックで人里離れた山の麓にその病院はありました。
『何の病院なんだ、ここは? 子供・・ああ小児病棟・・違う・・あれは・・ライ病だ!』
島の観光利益を損なうという理由で隔離された孤立無援の施設。パリで娼婦をしていた婦長。盲目の看護婦。唯物論者の医師。信仰では救われぬと知った老神父と神から見放された子供たち。
やがて島の火山が白煙→黒煙→大噴火。
走る亀裂、振動で鐘を鳴らす教会、倒壊する家々、流れ落ちるマグマ・・。61年製作を考えれば特撮は大健闘です。
恩赦を当てにして病院患者救助に志願するハリーたちですが、避難の猶予はあとわずか。
『よし、俺の帆船を港に残す。ただし明日の4時までだ。それ以後は引き潮になる』
神父とハリーら4名は飛行艇からパラシュートで山麓へ降下、果たして病院は・・。
ライ病の子供たちを嫌っていた悪党たちが、やがて体を張って彼らを守るように。
ラスト、ハリーのとった行動と神父の祈りに男泣きです。
準主役になるのかと思った理想に燃える若い神父が全くドラマに絡まない(屁の役にも立たない)のが実に“いい感じ”でした。
※私が中古VHSを購入した時は「4時の悪魔」だったのですが、現在販売されているDVDは「四時の惡魔」になっています。う~ん、ここいらへんはブレないで欲しかったなぁ…。