デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

幽霊が山海塾に!表層的リメイクとしては及第点だが。 パルス

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死は開放ではなく永遠の孤独・・というオリジナルのテーマが彼岸の彼方にすっ飛んでしまったのは残念ですが、数あるJホラー・リメイクとしては合格圏内だと思います。

「パルス」(2006年/ジム・センゾロ監督)

黒沢清監督の実験作「回路」のハリウッド・リメイクです。

赤いガムテープによる封印、ワンカット投身、灰と化す影、途中でかっくんするゴースト・ウォーク、火達磨旅客機・・など映像の表層的トレスは万全。

しかし残念ながら肝心な部分が穴だらけ。

幽霊(Ghost)という単語は使っていますが、死後の世界がネットを通じて溢れ出るというオリジナルの設定は華麗にスルー。封印されていたモンスター(どう見ても山海塾)が解き放たれるという偏差値貧乏な展開に。

更にこいつに“生きる意思”を吸い取られるという描写が、スペース・バンパイアも呆れて宇宙に帰ってしまうようなチープなCGでギックリバッタリ腰砕け。

これで、このモンスターをリプログラムして再封印、てなオチになったら怒髪衝天でしたが、ギリギリでデストピア世界をキープしていたので、首の皮一枚で合格とします。

にしても、携帯の圏外になると襲ってこないという設定は(車でちょっと走っただけで圏外になる・・しかも、明らかに携帯使えそうな街が目の前にある、というご都合主義と合わせて)、何だかなあ・・ではあります。

黒沢監督のコメントを聞いてみたいものです。

※参考:「回路」→2008年10月5日

※ついでに「CURE/キュア」→2008年8月21日、2009年6月11日