デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

巨乳と巨根の妄想神話。 HEAVY METAL

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「18年間童貞だったのに、1日に2回も! なんて素晴らしい世界なんだ!」(第3話「デン」より)

昔観た時はさして気にとめなかったのですが、改めて観ると下半身の劣情だけで固められたアニメだったんですねえ。

「HEAVY METAL」(1981年/ジェラルド・パッターソン監督)

アダルト・コミック誌「HEAVY METAL」に掲載された7話(オリジナル含む)を繋いだオムニバス・アニメです。

邪悪なる意思の結晶体ロックナーだけを共通のアイテムにした競作ものですが、元の話がどれも中学生の妄想レベルなので、とにかく女は巨乳で淫乱、男は巨根で絶倫。

馬鹿真っ盛り。

実写に着色するというロトスコープ方式は、当時としては手間隙2倍の贅沢技術だったかもしれませんが、CG全盛の今観ると、レトロでモダンで前衛。実に味わい深いです。

正直、話はどれも大した事ないのですが、ダン・オバノン原案の第5話「B-17」が短いながらもオバノンらしさが良く出ていて個人的イチオシ(写真中央)。

で、実はこの5話と前の4話(キャプテン・スターン)の間に欠番がありまして。

アニメーター、C・コールによる「ネバーホエアランド[NEVERWHERELAND]」がそれ。

DVDには映像特典としてラフスケッチによる初期段階のテスト画像が納められているのですが、これが素晴らしい。

有史以前の地球にロックナーが飛来し、生命が誕生するも弱肉強食の食物連鎖となり、人が動物を狩り、ローマ軍が殺戮を繰り返し、キリストを磔にし、切り裂きジャックが生まれ、戦争が起こり、ナチス・ドイツが大量虐殺に走るという、暴虐の歴史が万華鏡のように展開するめくるめくイメージ・ショット(台詞無し)。

芸術です。

全体の尺と前後の流れを考えて泣く泣くカットしたらしいのですが、いやあ、惜しい。

確かにおっぱいとチ●コしか出てこない話の合間にこんなアートな画を挟んだらバランス崩れるかもしれませんが、なんとか残して欲しかったと思います。

雑誌のタイトルに因んで、音楽は当時のHR/HM(スコアはエルマー・バーンスタイン)。

ブラック・サバスの「E-5150」から「MOB RULES」の流れが堪りません。