『こんなものを読んでいたらロクな大人にならんぞ!』
少年ビリーの願いも空しくゴミバケツに投げ棄てられるホラー・コミック。
表紙から飛び出した死神が語る5つのベッドタイム・ストーリー。
「クリープショー」
(1982年/ジョージ・A・ロメロ監督)
コミック雑誌をめくる様に綴られる話なので、内容は単純明快。文明批評から離れたロメロのリラックスした仕事ぶりを楽しめます。
お気楽に作った作品にしては役者が超豪華。
エド・ハリスやゲイラン・ロス、キングにサビーニといったいつものメンバーに加え、ハル・ホルブルック、エイドリアン・バーボー、レスリー・ニールセンといった曲者を揃えています。
きっと現場はリラックスの坩堝で、皆ぐにゃぐにゃになっていたのではないかと思います。
「ゾンビ」以外でゲイラン・ロスが観られるのは「マッドマン・マーズ」(←未公開のB級スラッシャー・・らしい)と本作だけなので個人的には結構貴重。
ただ、映るのは首から上だけ(砂浜に埋められて満ち潮で溺死する)。
全身映る時は海草ぶら下げたゾンビ状態で、トム・サビーニがいらん所で全力仕事したもんだから言われても分からない変貌ぶり(写真下)。もっと顔が観たかったなあ。
各エピソードは、以下の通り。
第1話「父の日」
父の日のケーキ欲しさに墓から這い出るボケじじい。死んでも家族大迷惑。
第2話「ジョディ・ベリルの孤独な死」
庭に落ちた隕石で一儲けしようと思ったら、妙な菌に寄生されて大騒ぎ。
第3話「押し寄せる波」
妻とその不倫相手にねんごろな復讐をしたら、ねんごろに復讐され返されちゃった。
第4話「箱」
大学の地下研究室の奥にある念入りに封印された古い木箱を・・開けちゃ駄目。
第5話「奴らは群がり寄ってくる」
潔癖症の人でなし事業家を嘲笑うように溢れかえるゴキブリの大群。
どれも大した話じゃないと言えば大した話じゃないのですが、コミックの大衆的ホラー感が良く出ていて結構好きです。
※ホラー以外のロメロと言えば・・
「これは一編の詩。ロメロ版“旅芸人の記録”。ナイトライダーズ」
→2009年1月16日