「だって仕方ないじゃろ。地獄の門が開いちまったんじゃからの。理由? ないわい、んなもん。辻褄って何じゃ? 地獄の門が開いたんじゃぞ。そりゃあ都合よく硫酸は出てくるし、タランチュラは湧いて出るし、犬は狂うし、人間も意味不明な行動とるし、病院の部屋の位置関係がおかしくもなったりするわい。なんせ地獄の・・」
フルチ爺さんの世迷言ホラー最高傑作が遂に復刻(拍手!)。
「ビヨンド」(1980年/ルチオ・フルチ監督)
ストーリーなんか知った事か、とばかりにひたすら顔面崩壊とショック描写にひた走るフルチ爺さんの悪趣味が芸術にまで昇華した奇跡の1本です。
今回、音声が5.1chに豪腕リニューアルされております。ググッとボリュームを上げれば恐怖と馬鹿馬鹿しさが増幅されて楽しさ倍増。
お話は・・世界に7個ある地獄の門のひとつがとある古ホテルの地下で開いて大騒ぎ。
以上です(笑)。眼球が抉られ、飛び出し、硫酸で溶かされ、蜘蛛に喰われ、といった素敵なシーンの合間に思い出したようにドラマが挟まれるナイスな構成。
特筆すべきは小道具選択のセンス。
何と「エイボンの書」が!(フルチとクトゥルーって凄ぇ組み合わせだな)
ネクロノミコンではなくエイボンというあたりがお洒落ですねえ。
少林寺ではなくウーダン山を出自にした「グリーン・デスティニー」と一脈通じる選択眼です。
主演は、代表作が「ベルサイユのばら」と本作と「地獄の門」という非の打ち所の無いキャリアを誇るカトリオーナ・マッコール。
主演なのに何故かビデオジャケットに大写ししてもらえない不遇の女優です(白目剥いてる女性はカトリオーナではなく、サラ・ケラー)。
大した意味もなく、伏線ですらなく、仮に伏線であったとしても回収する気がさらさらないショック・シーンをしつこくしつこくしつこく映す・・国宝的職人芸です(乾杯!)。
※参考:「ロリと美熟女はOKなのですが。
グリーン・デスティニー」→2010年2月20日
「ネクロノミカン/禁断の異端書」→2010年10月18日