『美味しい、と感じた料理の決め手はいつだってバターだ。バターの量は多ければ多いほど良い』
そうか。バターだな。分かった。
「ジュリー&ジュリア」(2009年/ノーラ・エフロン監督)
曼荼羅畑とは対角線上にある世界観の映画ですが、たまにはこんなのも。
アメリカでは知らぬ者無しな伝説の料理研究家ジュリア・チャイルド(1912-2004。すみません、知りませんでした)と彼女の残したフランス料理レシピを全て再現してブログにアップする現代女性ジュリー。
二人の女性のドラマを交錯させる(いや、交わらないからパラレルに描く)まあ、今時な映画です。
ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)のパートは素晴らしい出来。
天真爛漫で、食べる事が大好き。夫と共に移ったパリでフランス料理の虜になり、タマネギ一つ切れない状態から料理を学び、フランス料理の研究に没頭。50歳を目前にして、アメリカ人向けにフランス料理のレシピを英語で解説した“Mastering the Art of French Cooking”を出版。キメ台詞は「ボナペティ!(さあ、召し上がれ!)」
行動原理が「好き!」の一念という所が素敵じゃありませんか。
対して現代OLジュリー(エイミー・アダムス)はどうかと言うと・・。
何と言うか動機が不純。結局は人の褌で相撲とっているだけだし。
他人のレシピを再現してブログに載せただけで「私も作家よ!」みたいな事言われてもねえ(気にしているのはブログのアクセス数と料理再現の消化数ばかりで、好き!とか美味しい!という純粋な気持ちが全く伝わってこない)。
しかも本作、このジュリー(実在の人)のブログを出版したものが原作なのね。
印税ガッポリ、著作権料ガッツリ、メリル・ストリープにもデカイ顔(をしたかどうかは知りませんが)で鼻高々なんだろうなぁと思うと余計に腹が立ってきます。
という訳でメリル・ストリープの所だけ100点。エイミー・アダムスは5点。原作者マイナス200点。