監督が決定した時から、嫌ぁな予感はしておりましたが、う~む・・。
大好きなシリーズではありますが、心を鬼にしてこの一言を。
「プレデターズ」
(2009年/ニムロッド・アーントル監督)
自由落下の最中に覚醒する出だしは快調。
あわや地面に激突か、という所でパラシュートが開いて間一髪。降り立ったのは密林。見渡せば他にも人が。人種・国籍雑多。軍人、傭兵、犯罪者、ヤクザ。
「ここはどこだ?」「お前は誰だ?」な、永井豪の「真夜中の戦士」と萩尾望都の「11人いる!」を足したような導入部はなかなかに魅せます。
すぐにプレデターを出さず、猟犬(プレデター版ケルベロス)による襲撃を挟むあたりも小癪なジラシ戦法です。
でもそこまで。あとは雪崩式グダグダ。脚本の推敲とかしなかったのか?
人間はプレデターが狩りのためにアブダクトしてきた獲物(狐狩りの狐)、なのですが、拉致の描写が一切ないので、実は人類も一枚噛んでる陰謀なんじゃないのか、とか余計な詮索をしてしまいます。
主役のエイドリアン・ブロディ(どう見てもジローラモ)が、名前を含めて正体を明かそうとしないのも深読みに拍車(実はただ単にラストに男女が互いに名乗るシーンを撮りたかっただけでウルトラ無意味な引っ張り)。
更にこいつら全く戦闘のプロに見えません。「エイリアン2」の海兵隊が一人いれば余裕で殲滅できるでしょう。
大体、サイコキラーとかただ殺しが好きなだけで“プロ”じゃないじゃん。
ジャングルでスーツに裸足のヤクザ(どう見ても松本人志)とか何の冗談だ。
折角、他の惑星(プレデター星?)が舞台なのにこの閉塞感は何じゃらほい? この監督にとっては惑星の地表もモーテルの一室と同じ広さなのか。
ローレンス・フィシュバーン、お前何でそんなに太ってるんだ? その独りよがりなクサイ演技は役作りか(カーツ大佐の物真似か)。だとしたら大失敗だ。
自称医者の終盤の行動は全く以て理解不能。何がしたいんだお前。
あと弱すぎねえかプレデター。俺は強いプレデターが観たいのだよ。人類の銃火器では傷一つ付けられない怪物を智恵と勇気と自己犠牲で追い詰めて行く、そんな熱いドラマが観たいのだよ。1作目とリンクしてりゃ客が喜ぶとでも思っているのなら大間違いだぞ。
「のっぽのサリー」は確かに1作目でも流れていたから、オマージュで使うのは構わんが、TPOってものを考えろ。全然合ってないだろう、エンドクレジット冒頭には。
関係者は全員1作目1,000回観直しの刑(但しアリシー・ブラガを除く)。