デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

美男×返り血=耽美。 日本の黒幕(フィクサー)

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『わしが間違っているのではない。1億人が間違っているのだ!』


こんな台詞が許されるジジイは佐分利信以外おりません。ここまで頑迷な年寄りになれれば、人生悔い無しです。

 

「日本の黒幕(フィクサー)」
(1979年/降旗康男監督)


総理の任免も可能な右翼の大親分・山岡(佐分利信)の権謀術策というお話の骨子は「日本の首領(ドン)」の流れを汲む“いつもの東映節”ですが、テイストが若干異なります。

何と言うか“お耽美”なんですね。

山岡を襲いながら逆に取り込まれ門下生となる美少年テロリスト・一光(狩場勉)。

門下生を束ねる美青年・今泉(田村正和)。

「自害はできても、わしの為に人は殺せんだろ」と言われた今泉が暴漢・小林稔侍を刺し殺し、返り血を浴びた蒼白な顔の美しい事。

白昼堂々、首相を刺殺し、後援者たちに撲殺される一光の血まみれの笑顔。

ケツを割った田中邦衛を日本刀で粛清した突撃隊長・団(中尾彬)の血塗られた形相は正に鬼神。

若者だけではありません。佐分利は旧知のジジイの前で半裸を晒してその胸に触れさせ、半裸の一光を見て「美しい」と眼を細め、秘書・高橋悦史も今泉を抱きとめ髪をぐりぐり。

ジジイ×ジジイ、ジジイ×若者、若者×若者の順列組み合わせに中年も乱入という“早すぎたやおい”が次々と展開。

いくら諸乳出した松尾嘉代が熱演しても太刀打ち出来るもんじゃありません。

にしても、田村正和の役名がイマイズミで、監督の名前がフルハタ。何か笑っちゃいますね。