デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

不謹慎の佃煮(←褒めてます)。 悪魔の毒々モンスター

イメージ 1

いやぁ、酷い(笑)。良識ある人が「な、なんて不謹慎でくだらない映画なのかしら!」と眉をひそめそうな下品で反道徳的な行為と表現を思いつく限りぶち込んだ不謹慎の佃煮。

傑作です。

 

「悪魔の毒々モンスター」
1984年/マイケル・ハーツ&サミュエル・ウェイル監督)


まずは「THE TOXIC AVENGER」を「悪魔の毒々モンスター」と訳した松竹富士の社員を称えましょう。

トロマヴィル(最近はこの地名が出るだけで頬が緩んでしまう)ヘルスクラブのモップマン、メルヴィン君はいじめられっ子。

奥手で虚弱で臆病で何故かいつも反笑い(つまりちょっと弱い)なメルヴィン君はキュートと言えなくもありませんが一般的にはキモい子。周りにいたらちょっと嫌。

そんなメルヴィン君がいじめ(というよりは半ば事故)で有毒工場廃液のドラム缶にダイブ。燃えて爛れて筋肉隆々な2m超えのモンスターにミューテーション。

モップ片手に街のダニを一掃する必殺掃除人に!

いじめっ子主犯格の2カップルが実に最低な奴らで、自ら作ったルールによるポイント制の轢き逃げ(ひとりデスレース2000年)が趣味。

80年代ど真ん中なノリノリPOP「BODY TALK」に乗っていたいけな子供を跳ね飛ばしバックで頭轢き潰し記念のポラを撮ってはしゃぐ様には、流石にドン引き。

メルヴィンはレストラン強盗粛清現場で知り合った盲目の美女とフォーリング・ラブ。プラトニックに終わらせず、ちゃんとSEXまでする辺り、製作側の律儀さが伺えます。

この強盗シーンでは盲導犬を蜂の巣にするという“ひとつのカットで複数の団体を同時に敵に回す”という離れ業も披露しています。

後半は、街が綺麗になって善良な普通の市民が増えると困る市長&マフィア&警察署長(ナチマニア)連合軍がメルヴィン抹殺を画策。州軍まで出動する大事に。

ロボコップ」(87年)って実は本作を下敷きにしているのではないでしょうか。

悪人の一人が工場廃液に漬かってデロデロになった挙句に車に弾き飛ばされるシーンは本作へのオマージュのような気がしてなりません。

間違っても人にはお薦めできませんが、細かいカット(黄昏るモンスターの後姿とかロングのシルエットとか)にスタッフの誠実さとセンスが光る「名作」です。

※参考:「悪魔の毒々おばあちゃん」→2010年8月23日
    「悪魔の毒々プラトーン」→2010年10月16日
    「悪魔の毒々ハイスクール」→2010年10月23日